鍵姫物語 永久アリス輪舞曲 第8話

妹きらはの兄有人に対する恋愛感情問題、前回、同じ禁断の恋を抱える同性愛者キサの視点から優しく語られ、収束したかと思ったのだが・・・。今回、近親相姦の欲望を絡ませて、よりどろどろとした展開に・・・。いや、この作品、想像を超えてる。凄い構成だ。
新たなアリス能力者アスカの力によって内なる欲望に気付かされたきらはは苦悩する。そんな時、「幼児期に強姦された」物語を持つアリス能力者ミカの襲撃を受ける。戦いの後、負けた彼女は、辛い物語は要らないと、有人の書き写しを拒否して去っていく。兄への想いを辛い物語と感じているきらはは、アスカに対して自ら物語を差し出そうとする。
これ以上無いくらいどろどろした展開だw。妹萌えアニメ全盛の中でも、ここまで実の兄妹の恋愛問題で突っ込んだ描写はそうそう無かったのではないだろうか。幼女強姦などと対比したりしているあたりも凄い。強姦された少女が赤ずきんをモチーフにしているというのも気が利いている。
ただ、決着のつけ方は安易。有人が身を張った兄妹愛の強さを見せて、きらはも納得する。しかしまあ、このあたりが妥当だろう。
また、この回はもう一つ大きな問題が提起されている。
「物語は全て欲望の裏返しであり現実逃避である」というもの。物語の中で取り上げるテーマとしては凄いものを提示したものだw。
物語の流れから、否定されるべき意見だろうが、実際これは一つの正解といえる。それが現実逃避かどうかは、物語を受け取る側の態度如何にかかってくるが、「物語が欲望を反映している」ことは全く正しい。より深い欲望、より深い心の傷を持っているものほど、深い物語、人に共感を与える物語を書き得る。これはどんなに言いつくろうとも、変えようもない事実だ。幼児愛好者であったルイス・キャロルのアリスをモチーフにしているこの物語で、このようなテーマを持ち出してくるあたりも凄い。いったいどのように収束させるつもりなのだろうか。実に興味深い展開になってきた。