シスター・プリンセス Re Pure キャラクターズを語る(暫定版)鄯 〜可憐〜「棚上げされる運命」

  • ストーリー

おばあちゃんから貰ったロケットにお兄ちゃんの写真を入れたい可憐。しかし、お兄ちゃんと二人で映っている写真に鋏を入れる事が出来ず悩む。そこで思いついたのが、以前貰ったお兄ちゃんの生徒手帳の写真だった…。

  • 解説

可憐はシスプリにおいてもなかなか面白いキャラクターである。原作では設定年齢が結構低めであったものが、アニメ第1期を経て、何時しか妹達の中でも年長組の設定になってしまった。(アニメ第1期ではメインヒロインという事もあり、飛び級で兄と同学年になっている)なので、原作の言動をそのままアニメに転用すると何処か違和感のあるキャラクターになってしまう。「その歳で何も知らないと言う事はないだろう」というわけだ。「全てを知っていて、知らぬ振りをしているのだろう」とか、「ものすごく嫉妬深いだろう」というダークなイメージすら付きまとう。実際には兄を慕う想いを心に抱いているだけだというのに。「兄を愛する妹達」という、少女にのみ許される、そして報われない恋愛ストーリーであるシスプリにおいて、その矛盾点を最も体現しているキャラクターといえるかもしれない。
彼女の恋愛哲学は「強く想えば、その想いは絶対に通じる」というもの。
今回のエピソードにおいて、彼女は一つの問題を抱える。ロケットに兄の写真を入れるには、自分との間を裂かねばならない。この他愛も無い事は彼女にとっては一大事件になってしまう。
しかし、彼女はその解決策を見つける。以前から兄を慕う余り貰っていた生徒手帳の写真を使う事を思いつくのだ。兄の写真の入ったロケットを身に付け、兄を自分の中に取り込んだ快感を得る。一種の性的快感と共に擬似的な婚姻を夢想しているのかもしれない。
こうして彼女は「常に兄を想っていれば、問題も解決できる。」という事を実証する。彼女は明らかに兄との結婚を夢見ている。それが現実には不可能である事は彼女自身の年齢であるのならば普通知っているはず。しかし、彼女はその事を自分の心の内にすら表さない。それは気がついても意味が無い事。それらの現実には耳を傾けず、ただ兄のことを強く想い続ければ、いつしかロケットの写真の様に問題が解決してくれる。それは彼女にとっては「嘘」ではない。自分自身が信じている限りは絶対に実現する「事実」なのだ。

  • 音楽

「Lyric」
キャラクター全曲中、この可憐の曲にだけ歌詞が付いていない。しかし、解説にも書いたように可憐の兄への想いは言葉に出来ない。言葉にすれば全て嘘になってしまう。まさにその事を表現した絶妙な曲といえる。
全体を通じて暖かく穏やかなメロディーが奏でられている。それは可憐の心の中の兄への想いそのものなのだろう。