シスター・プリンセス Re Pure キャラクターズを語る(暫定版)鄱 〜衛〜「性差、年齢、そして兄妹」

  • ストーリー

久し振りに男友達にサッカーに誘われる衛だが、失敗してしまいもっと女の子らしくした方が良いと言われる。落ち込む衛をあにぃは慰めるのだった。

  • 解説

シスプリの妹達の中で、衛が最もエロチックなのは何故だろう。
シスプリにおいては元々兄妹の恋愛というタブーが存在する。しかし、男の子っぽい衛は自分とあにぃとの性差を意識し無いよう努める。実際に彼女は幼く、今のところ性差はあまり意味を成さない。なので、彼女はあにぃに精神的にも肉体的にも近づけると信じ、努力をしている。その裏にあにぃに対する恋愛感情が有る事を自覚すらせずに。
しかし彼女も成長する。物語においても、彼女は常に自分の女性としての成長に悩まされる。そこに彼女のインモラル性が見え隠れするのだ。兄妹のタブーばかりではなく、幼い性としてのタブー、同性愛的なタブー。それらが綯い交ぜになっていながらも、心の底の純真な愛情によってあにぃに迫っていく。なんとも罪深い存在だろうか。
しかし、今はまだ大丈夫。「子供」と「女」の境目にいる彼女は、自分が子供だと思えば子供だし、男の子と同じと思えばそう感じる事も出来る。あにぃにも諭され、今ならば性差の関係無い完全なパートナーになれる事を信じていられるだろう。

  • 音楽

「素顔」
この回は、第2話にして岡崎律子の挿入歌の素晴らしさが遺憾なく発揮された回である。公園で一人落ち込む衛のもとにあにいがやってくる所から、慰められて元気を取り戻し、エンディングに至るまで、全てにこの曲が流れ、また絶妙に合っている。
曲の内容は、一聴すると恋を告白された喜びの曲の様に聞こえる。しかし、じっくり聴くと決してそれだけではない事が判る。二人の距離が近づいた事によって、決定的な溝が有る事を悟る、そんな歌詞にもとれる。それは正に兄妹恋愛の結末のようだ。もちろん、曲の解釈は捉え方次第でどう捉える事もできる。しかし、だからこそこの曲を貰った衛の、想いの切なさが引き立つのだ。