シスター・プリンセス Re Pure キャラクターズを語る(暫定版)醱鄯 〜白雪〜「提示される結末」

  • ストーリー

にいさまにお菓子を作ってあげるため、マダム・ピッコリのお菓子教室に通う白雪。マダムは白雪の目的を知り二人を応援するが、その表情はどこか寂しげだった。

  • 解説

白雪は料理をよくするということから、姉妹の中でも最も家庭的な雰囲気を持っている。しかし、年齢的には幼く、そこにちょっとしたギャップのあるキャラクターといえる。
ただ、このちょっとしたギャップが問題なのだ。家庭的という事は恋愛における結婚願望も強い事につながる。そして白雪の想い人は実の「にいさま」である。つまり彼女の恋愛は兄妹結婚というタブーへと直結している。
そして彼女は幼い。その為、自分がタブーに触れていることに気づいてすらいない。なので今は幸せにしていられる。しかし、それは何時かは破られる平穏。幼いのに家庭的、というギャップの中に実に危うい物をもった不安定なキャラクター、それが白雪という存在だ。
そんな危うい彼女の前に、明らかな不安要素が提示される。かつて自分の兄を想っていたマダム・ピッコリ。しかし今は一人で暮らしている。彼女に一体何があったのか、それは幼い白雪には想像する事も出来ない。しかし、マダムの悲しい表情を見てしまうと、どうしても不安が湧き上がってくる。
マダムは兄を愛し続けた妹の結末の象徴だ。つまり12人の妹達全員の、未来の姿だ。それを見て不安にかられ、にいさまに抱きついて全てを忘れようとする白雪の姿は、妹達12人全員の象徴ともいえる。ここに初めて、妹達の兄への想い、その行き付く先の哀しき結末が明確に提示されるのだ。

  • 音楽

「いっしょにたべよう」
仲の良いカップルの食事風景を綴った幸福感一杯の歌。二人で食べる食事はどんな嫌な事、悩み事からも解放してくれる。それは魔法のようなもの。その食事を作る者も、それが全てを解決する事を知っており、その万能の能力を振るう幸福を感じている。
本編において明確な不安が提示され、それを振り払いたいとする白雪がいる。そして、彼女の心にシンクロするかの様に、純粋に幸福な曲が流れる。しかし、だからこそ、一度不安を抱えてしまった白雪の元に、その幸福が訪れないであろう事を知っている視聴者の心を揺さぶるのだ。