堀江由衣、失われた1年…?

最近、堀江由衣の活動が激しい。昨年11月にアルバム「嘘つきアリスとくじら号をめぐる冒険 」を発売したのを契機に、今年に入って全国3箇所のコンサートツアーを行い、今後はそのコンサートフォトブック発売のサイン会を開催する予定もある。また、自身がプロデュースしたというユニットAice5結成は昨年10月に発表して以降、今後、全国5箇所でキャンペーンを、そして8月にもCD発売記念イベントをやる予定である。
堀江由衣といえば声優界のトップアイドル。それがついに活動を再開した、そんな印象だ。
そこで、はた、と思いついた。
再開?では彼女は何時から活動をしていなかったのだろう。いや、そもそも彼女は活動していなかったのか?
堀江由衣はずっと声優活動をしていたし、イベントでも見かけていた。では、なぜそんな印象を持ったのかといえば…、そう、彼女自身のプロデュース活動、歌手活動を最近ほとんど見かけていなかったのだ。
そしてそれが何時からなのかといえば、2004年4月28日発売のアルバム「楽園」発売以降。それから最新アルバム「嘘つきアリスとくじら号をめぐる冒険 」発売までの間にやった歌手活動といえばマキシ「スクランブル」くらい。しかしこれは堀江由衣withUNSCANDAL名義であり純粋な堀江由衣名義では無い。曲調も基本的にはUNSCANDALよりで、言ってみればアニメ主題歌に託けて堀江由衣をゲスト出演させているようなものだ。これを外せば、彼女は丸1年半もの間、自身のプロデュース活動をしていなかったということになる。
とはいえ、堀江由衣の歌手活動にはむらがある印象もある。これが単なる気紛れなのか、一応過去の活動も調べてみた。
堀江由衣は1998年11月にシングル「my best friend」によって歌手デビューをしている。そしてこの時、シングル発売時としては唯一キャンペーン活動をしている。
その後、アルパムとして、2000年12月に「水たまりに映るセカイ」、2001年11月に「黒猫と月気球をめぐる冒険」、2003年3月にキャラクターソングベスト「ほっ?」、2003年7月に「sky」、そして2004年4月に「楽園」を発売している。
アルバム発売間隔としては、キャラクターソングベストをはさんで「黒猫と月気球をめぐる冒険」と「sky」の間がほぼ2年近く空いているが、この時期は、2002年1月に全国3箇所のファーストライブツアーを、そして2003年5月には、田村ゆかりとのユニット「やまとなでしこ」による全国6箇所のファーストライブツアーを行い、途中シングルの発売などもあり、活動を停止している印象は無い。
アルバム発売のキャンペーンとしては、1stアルバム「水たまりに映るセカイ」では、リリース直前イベントを1回、「黒猫と月気球をめぐる冒険」では発売記念イベントを全国5箇所で、「sky」では全国12箇所でイベントを行っている。
あえて活動の少ない時期を挙げるとすると「水たまりに映るセカイ」発売後だが、この時期はファンクラブをやまとなでしこから分離するなど、まだ活動方針が確立していなかった為と推測できる。(替わりに写真集の発売などはこの時期だったりする。)
こうしてみると、「楽園」発売以降の活動の少なさは明らかといえる。活動方針も確立しており、キャンペーン活動がどれだけCDの売上に影響し、自身の人気上昇に繋がるかを判っていたにも係わらず、次のアルバム発売まで1年半、アルバム製作にかかる期間を大雑把に半年と見積もっても、丸々1年間、堀江由衣は歌手活動のプロデュースをしていなかったというわけだ。
では、堀江由衣は何故1年もの間活動を停止していたのだろうか。
それは、本人や関係者が語っていない以上、判らない。ただ、あの出来事、2004年5月5日、「楽園」発売後1週間もしない時におきた事。あの哀しい出来事が彼女を停止させてしまったのではないか、と推測する事は出来る。
なお、当時、この事に対する彼女のコメントがなかったと言う理由で彼女を非難する声が上がったというが、それはとんでもない事だろう。人の死を悼む気持ちなど本来言葉には出来ない。ましてや彼女は声優という立場の公人である。言葉を発した時点でそれが自分自身のアピールになってしまうという覚悟を持たねば、その気持ちをむやみに発する事など出来ないだろう。彼女はそれすらも惜しみ、どんなに非難されようとも、あの人に対する気持ちを大切にしたのではないだろうか。
そう考えると、彼女の不自然な沈黙からこの事に対する堀江由衣の気持ちの重さが窺え、そしてそれは、この1年間の活動停止にも繋がっているのではないかと思わざるをえない。
それにしても、この失われた1年の間に一体どんな事が起こっただろう。
FictionJunction YUUKAガンダムSEED人気の流れに乗ってオリコンをにぎわした。
かつての相棒田村ゆかりが着実なライブ活動でファンを拡大していった。
水樹奈々がその歌唱力によって幅広い支持を集め、武道館ライブを成功させた。
堀江由衣は、ランク的にも、数値的にも、後から来た者に追い抜かれてしまっている。声優界の勢力図は大きく塗り変わってしまったと言っていいだろう。彼女にとってなんとも大きな損失だろうか。
しかし、声優において最も重要なのは「声」。
かつて、ヒロイン声をやらせたら他の追随を許さないと言わしめた彼女の声は強力だ。
活動を再開した今、彼女の巻き返しに期待したい。

ヒカリ

ヒカリ