Junko Iwao Live 2006 〜 もっと近くに 〜 自由学園明日館講堂 昼の部

場所は、池袋駅に程近いながらも閑静な住宅街の一角。重文である明日館に付属する講堂。確かにかなり雰囲気のある作りだ。
入ってまず気になったのが、遮光していない事。昼のライブなのに外の光がそのまま射し込んでいる。本当に学校で講義でも受けるような雰囲気だ。そしてそれはこの昼の部の狙い(というより、この場所を決めた理由そのもの)でもあったらしい。「もっと近くに」というライブ名は、観客との距離を近づけたいから。確かに、講堂の舞台の上にも上がらず同じ高さで、同じ陽の光を受けてライブをしていると、互いの関係が近くなったような感じがする。
バックの構成は、キーボードとギターという簡素なもの。シンセもほとんど無く、たまにギターを持つ岩男潤子と併せてアコースティックライブといっても良いくらいだった。そして楽曲も、主に切ない系の穏やかな曲で構成されていて、大掛かりな印象を受けない。ある意味ボリューム不足といってもいいだろう。
しかし、だからこそこのライブのコンセプトが意味を持ってくる。入っていた観客も決して多くは無かったが、岩男潤子が客に対し一緒に歌う事を勧めると、しっかりと反応がある。この明るい陽の光の中、この小人数の観客の大多数が率先してライブに参加するというのは、ある意味驚異ですらある。だがそれは今まで様々なものをくぐり抜けてきた岩男潤子のこと、ずっと彼女に付き合ってきた強兵のファンも多いのだろう。観客を含めた全員がライブに参加し、協力してライブを作っているのだ、という雰囲気が出来、充実したライブとなっていた。岩男潤子自身も、終始、満足した表情だった。