Sound Horizon Concert Tour 2006-2007 『Roman 〜僕達が繋がる物語〜』追加公演 東京厚生年金会館

結構気紛れに参加を決めたイベント。ジャンルとしては、「オペラ風ロックコンサート」といった所か。かなりのボリュームのコンサートだった。(2週間ほど前の同じ場所の「ミュージカル風」と比べるとえらい違い・・・)
Sound Horizonはアニメコミック界隈にありながら、全く新しい流れとして、これを受け入れる人とそうでない人に大きな隔たりがあるような気がする。しかし、これが後の主流になり得るかもしれないという勢いもあり、ミーハー気質からどんなものなのか知りたくてチケットを取った。
実際の所、音楽の中に物語を織り込むという趣向はかなり好きなので、CDとかも事前に買って聞いてみたり。
しかし、CDを聞いた限りでは、それほど感銘を受ける事は無かった。音楽から浮かび上がる物語と言うには、具体的過ぎる歌詞が想像力を刺激するほどではなかったのだ。(始めて接するジャンルなので、感性が追い付いていないという事もあるだろう。)
だから、当初は結構テンション低く参加したのだが、実際にコンサートが始まると、これがなかなか良い。
物語を主、音楽を従とせずに、音楽を主として考えれば、このオペラは充分楽しめる。オペラにおいて物語などあって無いようなもの。雰囲気を盛り上げてくれる存在であれば充分だ。また、それをあえて不明確な物にする事で、より音楽に集中できる。なによりロックとしての迫力が素晴らしい。それに様々なジャンルのシンガーや管弦楽、それにバレエとダンス、スクリーンに写された映像と声優によるセリフと、実に多彩な演出で楽しませてくれる。(CD上にあった能登麻美子田村ゆかり等の声も演出の中でそのまま使われていた。)全く新しいジャンルのエンターティメントと言って良いだろう。
オペラにおける物語で最も重要なのが、そのジャンルがいかに紳士淑女に受け入れられるものか、という事だ。その点、このSound Horizonの描き出す世界観は実にカッコイイ。男子も女子も何の躊躇いも無く夢中になれる物だろう。
この事はかなり重要だ。今のアニメコミック界隈のオタク分野は男子と女子がかなりはっきりと分かれている。それは、個々に見れば片方の性が欠けているという点で、歪んだ文化と言えるかもしれない。しかし、このSound Horizonのようなものであれば、男女が共に楽しむ事が出来る。これは一つの大きな魅力だ。もしかしたら「僕達が繋がる物語」という副題も、そのあたりを意識して付けられているのかもしれない。これが一つの流れになっていくのか、注目して見ていきたい。