ネギの最後の敵は母親

妄想系考察を一つ。
「ネギパ!6巻」においてもっとも興味深かったのが、やはり赤松健のインタビュー。その中でも注目したのが、「木乃香の母親がいる」と言う事だった。この事は前から気になっていた事ではあるが、こうして明言されるとかなり興味深い。もしかしたら死んでいる可能性も高かったからだ。しかし、確かに存命しているらしい。そうなると気になる事がいくつも浮かんでくる。
木乃香の母親は何故姿を現さないのか。
これはかなり重大な問題だ。なぜなら、木乃香の実家の近衛家は関西呪術協会の総本山である。父親の詠春が長をやってはいるものの、その立場は入り婿に過ぎない。実体としては女系の方が強いのだ。それを考えると、木乃香の祖父であり、木乃香の母の父親である近右衛門も婿である可能性も高いだろう。つまり近衛家は、木乃香以外は女系一族としてのその実態が一切謎に包まれているのだ。
それに気になることがある。京都旅行の時、なぜ敵はあれほどたやすく潜入できたのか。そして、木乃香をさらう事が出来たのか。絶大な魔法力を持つはずの木乃香の母親がその場にいたのならば当然対抗するはずである。勿論不在であった可能性もあるが、それと同時にもう一つの可能性が考えられる。それは、「木乃香の母親が手引きした」と言う事だ。
近右衛門は麻帆良学園長に納まり関東魔法協会の長として基本的に西洋魔法使い寄りである。そして、詠春もその婿として関西呪術協会の長に納まり近右衛門と通じて関東魔法協会と友好関係を結ぼうとしている。それならば、関西呪術協会の中でその協調路線を快く思わない者は誰なのか。それは表の地位を持っていないものの、影の実力者であろう木乃香の母である可能性が高いのではないだろうか。
赤松健のインタビューの中でもう一つ気になった点がある。それは「『ネギま!』には母親の存在がほとんど出てこない」と言う言葉。
これも気になってはいた事だが、このような発言をみるとやはり偶然ではない様に思える。
木乃香の母親の妄想からさらに考えを進めると、「ネギま!」の世界には、もしかしたら、「男系」vs「女系」、「父親」vs「母親」という構図があるのではないだろうか。それはまた、「保守」vs「革新」にも繋がり、もしかしたら「人間界」vs「魔法界」、「魔法バレ」vs「魔法秘密」とも関係するかもしれない。
そのあたりは情報が少ないので、どっちがどっちという推測も出来ないが、唯一はっきりしている事がある。それは「ネギの母親の存在がまったくの謎」であるという事。もし「ネギま!」の世界に「男系」vs「女系」という構図があるとするならば、その存在は最も重要なものになるに違いない。そして、ネギが父親であるナギを追っている以上、その存在、つまり母親が現れた時、「母との対決」という事態が起こり得るかもしれない。
なんとも根拠の薄い妄想ではあるが、この妄想を補強する根拠が一つある。それは「『ネギま!』の世界は基本的に最終的な不幸や悲劇、絶対的な悪人を描かない」という事。最近ではそれも段々怪しくなってきたが、それでもその路線は崩さないだろう。それならば、「最後の敵が絶対的な悪だった」という後味の悪い展開は好ましくない。その点、最後の敵が母親ならば、「母の愛ゆえ」「女性のヒステリー」という治め方も出来る。
孤児のネギが父母と邂逅し平和な家族を持って最終回を迎えるなど、完全な大団円といえるだろう。
・・・この妄想、やはり少し先走り過ぎか。