美空大活躍の予感 〜 ネギま!の語り部は誰か2 〜

ネギま!は少し特殊な形態のマンガだ。主人公はネギだが、彼は10才の少年であり完全な感情移入の対象になっていない部分がある。ある意味ネギは象徴的な主人公であり、本来の主人公は別にいる。その主人公とは31人(だったT_T。今は30人)のネギの担当するクラスメイト達。「クラスメイト編」と称される回があるように、各クラスメイトの視点から物語が語られ、その時々にそのクラスメイトに感情移入しながらネギの成長を見守り、物語を楽しむ事が出来るようになっている。
そんな形態の中、その物語の視点=クラスメイトは、物語の大きな流れを見る視点として、ある個人に固定されてくる部分がある。物語の必然として、構成のメリハリによって大きな括りが生まれた時に、そこに代表される視点としてのクラスメイトが生まれてくるからだ。そして、その視点となったクラスメイトこそ、「ネギま!語り部」と言えるのではないだろうか。
前回、そんな観点からネギま!を章立ててみた。

「ネギま!の語り部は誰か?」2006/2/16日記

そして、「第3章 武闘編」については、163時間目において一区切りが付いたと言って良いだろう。
この章立ては、語り部の「質」から「物語の段階的な深化」を見て取る事も出来る。
ネギま!という物語は魔法使いの少年ネギが普通の人間社会に入り込む所から始まる。「第1章 遭遇編」においては、そのネギと偶然出会い、魔法使いである事を知ってしまった明日菜の視点から、「個人(クラスメイト)対個人(ネギ)」として、ネギの存在に対する驚きのドラマが描かれている。明日菜は単純な性格から、ネギという個人の存在について受け入れるのみで、その背景についてあまり興味を示さない。
次の「第2章 冒険編」の語り部である夕映は、ネギの背景にある「魔法使い」という存在について興味を示す。これにより、読者の意識も、「魔法使い」「魔法」そのものについて興味が移っていく事になる。しかし、夕映についてもごく普通の中学生の視点としてそれを捉えているという意味では「個人(クラスメイト)対事象(魔法使いの存在)」という視点に限定されている。
しかし、次の「第3章 武闘編」に登場する千雨は、ネットでも社会記事を書き、認められるほどの常識人である。彼女は「魔法使いの存在」を常識的な社会=人間世界にあてこんで、その存在を理解しようとする。つまり、彼女の視点は「社会(人間世界)対事象(魔法使いの存在)」となっており、読者の意識も、魔法使いという存在がこの人間世界に存在する事の驚異に向かう事になる。
こうして、ネギま!は、「語り部」たるクラスメイトの質によって、各章毎に「個人対個人」→「個人対事象」→「社会対事象」と、物語が段階的に深まってきていると言えるかもしれない。
それでは、次の章が訪れた時、ネギま!という物語は一体どのような深化を見せるのだろうか。
第3章において描かれた事実の中で最も興味をそそられた事は、魔法使いという存在が単なる「事象」ではなく、「魔法世界」という「社会」を形成しているという事だった。この事は、未来人である超が問題視し、過去にあった「大戦」にも影響しているかも知れず、もしかしたら大戦の英雄たるナギの行方にも関係があるかもしれない、物語の展開にかかわるであろう重大な事実だ。物語の展開としても、この「魔法世界」という「社会」が詳しく描かれていく可能性は非常に高い。
そして、その際の「視点」としては、当然「社会(人間世界)対社会(魔法世界)」となるのが望ましいだろう。そうなると、その視点=語り部たるクラスメイトはどの様な存在が適任だろうか。それは、人間世界、魔法世界を共に理解し、それでいながら両者に距離を置いている者だろう。
前回の文を書いた時には、そのような存在になりえる者は、ザジではないかと思っていた。実は、彼女は魔法世界の出身者で、彼女が魔法世界を案内する、という展開になるかもと思っていたのだ。しかし、今はその役目にもっと適任と言える存在が表れている。
美空である。
美空は、第3章において魔法生徒であることが確定し(臭わされたのはもう少し前だが)、新たな章の最初の回、164時間目において、魔法世界出身らしき言動も出始めている。それでいて、彼女の立場としてはどちらの世界にも付く事は無さそうだ。夏休みにおけるネギの魔法世界訪問が中心になるであろう第4章は、そんな彼女の視点で描かれるのが最適である様に思う。

と、いった感じになるかもしれない。
そうなれば、美空の活躍も、(本人の意思に係わりなく(^^))当然多くなるに違いない。
表紙キャラとして、第1巻は明日菜、第5巻は夕映、第11巻は千雨だった。
第18巻(もしくは第19巻か)は美空が飾る、ということもあるかもしれない。