なのはストライカーズの見所

リリカルパーティでも製作側が「力入れて作ってます」と散々言っていた理由が、ここ(5話)に来てやっとわかった気がする。変身シーンもそうだが、戦闘シーンにかなり力が入っている感じ。実際の描写時間は短かったりするのだが、その中にかなりの情報量が入っている。これもまた、原作者である都築氏の描き起こした詳細設定を動画映像に直しているのだろう。こういう所に力が集中してしまうのだから、その他の部分が若干空疎になってしまうのもいたしかたない?原作者の手が届かない所もサポートする体制が欲しいのだが。
ともあれ、その密度の濃い映像は何度見ても良い感じ。
まず、魔法が社会に組みこまれている世界として、その取り扱いも制度化されている事が結構丁寧に描写されている。前回でもなのは達の能力限定について語られていたが、これは比較的平和な時代の兵力配置として、裏技が承認された、という事だろう。
個人の魔法の力が、それこそ通常兵器の1中隊くらいありそうななのは達は、実際には実に危険な存在だ。彼女達が管理局に務めるのは、力の管理といった面からもある意味必然と言える。この世界、在野の魔道士と言うものが存在できるのかという事自体気になる所だ。
そんな訳だから、フェイトが空を飛ぶのにも承認が必要のよう。実際、その加速描写はコンマ数秒で音速を超えているかの様だ。そんなGがかかったら即座にブラックアウトしそうだが、そこは全身に魔力を満たす事で耐えているのかもしれない。そんな剣呑なものが市街地から離陸する事を想定すれば、確かに制度制限などが必要だろう。
そして、実際の戦いの描写。なのはは敵に自分を追わせておいて、瞬時に敵の背後に回っている。機動力に若干の弱みのあったなのはのレベルアップを、最初の一瞬から見せている。そして即座に自分を挟んでいた敵を同一線上にして挨拶替わりのバスター。このあたりは、なのはが一番最初に打った大火力の再現として、こだわりの描写なのだろう。その後はさりげないロードカートリッジの上、魔方陣を出してシューターによる殲滅火力を連発。フェイトが直線的に敵を倒している後で、なのはが大量破壊している所が描写されていたりして面白い。フェイトは自身が広域を高速で移動して線的に敵を倒し、なのはの打ち漏らしをサポートしている様子が見て取れる。このタイプの違う二人の戦い方が組み合わさっている様子が、しっかりと意味を持って描写されているあたりが、見ていて嬉しくなる。
スバルの陸戦的な戦闘は、面的な動きで接近戦に望む一方、ふとした拍子で空を駆けて3次元的になるなど、変化があって面白い。また、インテリジェントデバイスに自立性を与えるような語り掛けをする健全な精神がしっかりと表現されているのも、新主人公としての活躍に期待が持てる所だ。
エリオは魔法が無効化されたにも関わらず、力で対抗出来てたりするあたり、かなり身体的にも強いようだ。って、これは便宜的な表現だったのだろうか。彼の生まれに関係があったりすると面白いのだが。とはいえ、彼の場合、物語的には戦いで活躍するよりも、皆に助けられる立場になる方が期待できる。言ってみれば、「囚われのお姫様」的な立場になりそうな予感。
不幸な出自の男の子をカッコイイ女の子達が助ける、というのが、このシリーズの基本構造になったりするのかもしれない。