[アニメ]結論「コードギアス 反逆のルルーシュ」はとっても面白い

24話と25話を見る。これは第1シリーズ最終回ということになるのかな。
この作品については、結構世間の評価というのが気になる。なぜならば、この作品は、ある意味「世間を騙し続けた娯楽作品」だと思っているから。この事については以前に書いたとおり。

非常に非倫理的に人間の本能が要求する「支配欲」「独占欲」「殺戮欲」を描いているのに、それを巧みに感じさせない作り。裏には絶対的な非倫理が存在するのに、それに気付けない、いや、気付かない方が快感なので、誰もが気付かない振りをしたくなる。
しかし、多くの視聴者がその快楽に酔っていると、知らないうちにその快楽のほうが正しく思えてくる。人間は弱い生き物なので、本能の与える快楽につい従ってしまうのだ。
そして、気が付けば、この作品は「日本のために自らを犠牲にして戦うヒーローの物語」と単純に感じる人間が大量に生まれているという喜劇、いや悲劇。
これは腐敗した民主主義の果て、凶悪な専制君主が生まれる過程とまったく同じ。今の日本における「危険性」を測る事が出来るという意味で、実に面白い作品となっていた。
そして、今回の結末は、その非倫理に関しては、作品としてある程度の責任を果たした形となっている。
ルルーシュが求めるのは自分の欲求だけで、日本は単なる駒に過ぎない。彼は自分の欲で大量殺人をした単なるテロリストである事を読者に分かるように描いている。(もっと具体的でもよかったけど)
そして、全ての謀を水泡に帰し、読者には達成感を与えない。
この結末は、ルルーシュが実の兄を殺した時から「絶対的に」決まっていた事である。特に、この作品が多くの若者に支持されている今の状況ならば、なおさらだ。
もしこの状況の中でこの結末を描かなければ、スタッフは全員アニメ業界から去ったほうが良い。簡単に言えば「日本の悪」wだ。この結末を描いて、自分自身の首の皮一枚残したと言ってよいだろう。このような綱渡りで娯楽を描いたスタッフは、逆説的だが、凄い事をやってのけたと思う。賞賛にも値する。
ただ、この最終回を見て、残された視聴者がどう反応するのかは、非常に興味深い。
この結末を見て、「ああやっぱり」と思うのは、まあ普通。
「もっとこうするべきだった」「結末は幸福にすべき」とか思うのは、この物語に描かれている歪さを感じる伝手を残しているので、まだ見所がある。
一番怖いのは、単純にこの結末を「つまらない」「なんだかよく分からないけどいや」としか感じない人間だろう。
これらの人は、自分がどのような「スイッチ」で快楽を得、この作品を楽しんでいたのかを分かろうともしない人間だ。それは、娯楽の中ですらそうなのだから、いつか社会に出て、自分の生活そのものがかかった「スイッチ」に触れたとき、より大きく心の針を動かす事になるだろう。
このように感じる人間が一体今の日本の若者の中にどれくらいいるのか。それが分かれば、日本の将来の政治体制すら暗示出来るかもしれない。
(とは言え、これは先日行われた参院選の結果を見るだけでも、分かる事なのかも知れないがw)
とにかく、このコードギアスという作品は、非常に面白い。第2シリーズが一体どのように描かれるのか、期待して待ちたい。