Final Party LAST Aice5 横浜アリーナ

開演直前、会場内が一瞬暗転。
ちょっとしたムービーの後、5人の登場と共に、ステージ上からは5色の光が溢れ出す。
その瞬間、今更ながらある時に気付き、愕然としてしまった。
ここはどこだ?・・・横浜アリーナだ。
なにをやっている?・・・5人の声優ユニットAice5、その解散コンサートだ。
・・・声優のユニットが横浜アリーナでライブをやっているだって?
そんな事は普通「アリエナイ」。
声優のユニットは、未だ人気の薄い頃はその小さな力を合わせるため。人気が高くなったらなったで、どうしても企業の力が働いてくる。声優人気の本質は、基本的には人格だ。声優ファンはどうしても企業の匂いを嫌う傾向がある。声優ユニットは企業の力を感じさせた時点で頭打ちになってしまうのだ。それなのに、そのはずなのに、そんな声優ユニットが1万人を超えるファンを集めるほどのライブをやっている・・・
これはちょっとした奇跡なのだろう。堀江由衣という、当代一の声優アイドルの夢見た奇跡だ。
個人でさえ絶大な人気を誇る堀江由衣自身が発起人となり、どんなにその人気が高まろうとも「声優自身が作ったユニット」である事を最後まで貫き徹した。その結果が、この最後の最後まで右肩上がりの人気を保ち続け、横浜アリーナでのライブという偉業を成し遂げたのだ。これは、結局の所、堀江由衣という人物の人徳やカリスマがあってこそ実現出来た事なのだろう。もちろん、それを支え続けた他のメンバーの努力と能力も忘れてはならないだろうが。
そして、これは解散コンサートでもある。その一人の声優アイドルの見た夢がここに終わろうとしている。
そんな、このライブの貴重さ、切なさを、開演の瞬間に改めて気付いてしまい、どうにも言いようの無い焦りにも似た衝動に駆られてしまった。
そうなってしまうと、もうダメだ。とにかくがむしゃらにステージ上の5人に声援を送り続けてしまった。
堀江由衣の夢の舞台という意味では、この日が彼女の誕生日でもあった。主催者側から渡された、彼女のイメージカラー青色のサイリュームが、会場全体を青一色に染め上げた。
そして、ファンの側からも、これほどの奇跡を見せてくれたAice5メンバー全員に対して気持ちを返す。感謝の気持ちを込め、「Letter」の時に会場が白に染まる。
このような行為を通じて、会場全体の気持ちが一体となっていくのが手に取るように分かる。本当に良いライブだった。
Aice5が解散するのは、残念という声もあるだろう。だが、これは評価すべき事だと思う。
何かの活動は、やっている事、やり続ける事にも意味があるだろうが、「やり終える事」こそ一番重要だと思う。その活動が何であったのか、明確な形で固定され、提示され、その事自体がその活動に意味を与えるからだ。
Aice5は、ここに完結した。それもとても大きな成功を残して。
それは、とても素晴らしい事だと思う。
そして、そんな活動の現場に立ち会えたという幸運に、今、深い喜びを感じている。