魔法先生ネギま! 192時間目 ヒーローの条件

今度の合流者はコタロー。ケルベラス大樹林というかなり危険そうな地帯に放り出されていた者が彼であれば、確かに一安心だ。ただ、早くに果たすべき力なき者との合流は先送りになっているだけなので、それほど事態が好転しているわけでもないのだが。
ネギは、ここに至るまでずっと具合が悪かったようだ。千雨に当然の様に責められた挙句、ついに倒れてしまう。ネギの看護にいそしむ茶々丸と、それを手伝う千雨の二人は、互いにネギに対して好意を持っていながらもその事実に自覚的でない者達なので、見ていて微笑ましい。
いや、二人ともとっくに自身の好意には気付いているけれども、それを認めていないだけなのかもしれない。千雨は「自立的な」オタク少女として、茶々丸は「受動的で」あるべきロボット少女として、なかなか素直になれないでいる。ネギへの接し方について、互いに牽制をかけている様にも見えるこの二人は、互いに鏡を見るみたいに正に対照的な存在なのだろう。なにはともあれ、この二人に甲斐甲斐しく世話をしてもらっているネギは、羨ましい限りだw。
コタローは、登場するなり自分の過去の行動に後悔し続けるネギに対して喧嘩を仕掛ける。ネギはフェイトとの戦いを思い出し、自分の力のなさを責め、より強い力を望む。そんなネギの発言に対して反発するコタロー。これは、コタローが夕映に力を否定された時(87時間目)の引き写しだろう。ネギの言動に過去の自分の姿を見たに違いない。あの後、コタローはクーネルによってこっぴどい敗北を味わった。その後のコタローの心の軌跡は、本編上ではあまり描かれてはいないが、それでもしっかりと立ち直り、この場でネギの事を叱咤できる存在になっている。あの後のコタローが何を感じ、何を得たのか、色々と想像できる面白い展開と言えるだろう。
ネギの持っていないモノは「アホっぽさ」。これは以前からネギの師匠エヴァに指摘されている事と同じだろう。何事も頭で考えていたり、後悔ばかりしていては、小さくまとまってしまう。根拠の無い自信とか自分を許す豪快さを持っていたほうが、眠っている力を伸ばす場合もある。理性や感情で自分自身にセーブをかける事がないからだ。下手をすると、今回のように自分の感情に負けてダウンしてしまう事も有るだろう。確かに、このままの成長度からすると、いつかは明日菜にすら抜かれる事になるに違いない。
しかし、これはネギにとって、なかなか超えられない壁だろう。なぜならば、ネギを動かしているエネルギーは、おそらくは「自分を責める心」だろうから。これでは、ネギが父ナギに会うまで、つまり、おそらく「ネギま!」という物語が完結するまで直す事は難しいと思える。しかし、だからこそネギにはクラスメイトという仲間が必要で、彼女達との交流が物語的にも重要になってくるというわけだ。
細かい点も見てみよう。
千雨はカードの中にルージュのコスを登録していたようだ。もしくはコスプレマニアの彼女の事、もっと多くの衣装を登録している可能性もあるだろう。
電子精霊達も復活している。これはまさか単に茶々丸がそばにいるからではないだろう。茶々丸が電子精霊の進入を許すとも思えない。茶々丸の魔力を基にした発電によって千雨のモバイルが復活したと考える方が自然だ。
千雨を襲ったタコは服脱がしエロモンスターだったようだ。まあ、後から言われても、その時感じた恐怖は本物でしかないのだが。
茶々丸には、おそらく自然な性衝動は無いと思われる。それは裸を見られて恥ずかしがらなかった前々回のシーンからも窺える。(昔恥ずかしがったのは、ロボットの体を見られたくないが為)これで「本能によって性衝動が目覚める」ようなプログラムが入っていたら、それこそ、ハカセの人格を疑わざるを得ないだろうw。対して、千雨の興味はごく自然。当たり前の初心な中学生的な態度を見せる千雨がちょっと可愛い。それにしても、半乳のまま熱にあえぐネギのズボンをいそいそと脱がせる茶々丸の姿は、かなりヤバイw。
千雨はネギに対する敬語を止めているが、それでも以前から変わっていない言葉遣いがある。それはネギの呼称。彼女の中では「あのガキ」なのに、ネギに対した時は「先生」になる。これは一見「外見上」先生に対する敬意を払っているように思えるが、本当にそうかは疑問。先週、切羽詰った時の言葉は「ネギ先生」だった。千雨は自分でも気付いていないだろうが、ネギの男としての力の強さ、先生としての真摯な態度を正しく評価していて、それに従う気持ちを持ちつつあるようだ。千雨のこの「先生」という言葉の中には、女の子らしい従順さを感じさせる。あの自立心の強い「ツン」の千雨にして、垣間見せるこの「デレ」の部分は、なかなかに萌える。
ネギの熱は、木乃香の治癒魔法による魔力暴走によるものだった。恐るべきは木乃香の魔力量だろう。この暴走は、魔力容量の格差から生じるものと思われる。ネギも魔力容量の大きさでは折紙つきなのに、それをはるかに上回っているという事になるのではないだろうか。彼女の魔力が正しく活用されている様子を速く見たい。
ネギの体調も回復し、コタローという戦力も確保し、今後の探索は加速できるだろう。早い内に他のメンバーの顔を拝みたいものだ。