ネギ・パーティの「賞金首報道」を分析する

今更ながら、改めてこの事を分析する。
この「賞金首報道」は、結構奇妙な事実を含んでいて、分析すると面白い。
ひとつは、報道されている情報がネギ・パーティの公式な渡航情報でしかない、ということ。
つまり、密航者である運動部四人組と夏美の情報が含まれていないのだ。表示された写真も、パスポートのような物から取られたものだろう。
そして、もうひとつの事実は、ネギの名前が伏せられている、ということ。少なくとも、公式な情報であるのならば、当然ネギの名前も含まれているはず。これは明らかに、意図的に名前を伏せているのだろう。
後、重要な存在として、運動部の密航を知っているはずのドネットがどのように絡んでいるのか、という事も問題となるだろう。
まず、この報道がネギ達を探すための善意の報道かもしれない、という説がある。しかし、これはあげた二つの事実に両方とも矛盾する。
善意の報道ならば、当然ドネットが絡んでいるだろう。その場合、一番探すのが困難な、バッジをつけていない運動部達を報道に乗せない筈がない。また、ネギを見つけるのに、ネギの名前を伏せる必要も無いだろう。どうせ一度お尋ね者として顔を公表するのだから。善意の報道である可能性は少ないとしてよいように思う。
では次に、ネギ達を陥れる策だとして、誰が、どのような意図でやったのか、と言う事。
非常にありきたりな答えだが、やはり一番有力なのはフェイト一味だろう。彼らはネギ達の事をあえて転移魔法で世界中に「生かして」ばら撒いた。それが、単純に嫌がらせだった、というのも都合の良すぎる話だろう。フェイトに個人的な恨みの念があったとしても、こんな面倒な事を、私情だけで理由もなくやれば、リーダーとしての統率が取れるはずがない。フェイトが今回ゲートを壊したのは、その後に続く計画を念頭に入れているに違いない。当然、それは当局からの目を盗んで行うべき事であり、自分達に追っ手がかかるのを避ける方策が必要だろう。ネギ達はその生贄にされた、という訳だ。
フェイトは運動部達とネギの繋がりを重要視していないだろうし、手持ちの情報もないだろう。それに、ネギは魔法世界においては英雄ナギの息子として人気がある。その名前は伏せておいた方が、この賞金首報道に疑問を持つ者が少ない、と判断する可能性もあるだろう。二つの事実と合致している。
ただ、この報道がフェイト一味の謀略だとしても、疑問はある。
なぜ、ネギの名前が匿名のままで通っているのか?そして、ドネットがこの報道を止める事が出来なかったのか?と言う事。
ドネット自身が内通者である可能性は低いだろう。そうであれば、逆に運動部達の事も詳細に伝わっているだろうし、フェイトがネギの渡航を知らなかったという、彼の言葉とも矛盾している。
これらの矛盾から、フェイト達の行動は、ドネットの力が及ばないように、魔法世界の上層部にもある程度通じているのかもしれない。ドネットが言っていたフェイト一味との内通者は、実際に居て、その勢力は魔法世界の権力階級に、かなり蔓延っているのかも。
しかし、表面上フェイト達の行動はあくまで反政府的テロとして為されているので、魔法世界の政府そのものというわけではない。という事は、魔法世界の上層部には、フェイト一味と通じる過激派と、ドネットが組する穏健派(正統派)という二つの勢力が、言わば並立しているという事になるのかもしれない。