ARIA THE CONCERT 日本青年館大ホール

一風変わったアニメ関係のコンサート。普通、アニメのイベントと言えば、キャストのキャラソンとか、スタッフのトークばかりだけれども、ここでの主役はBGM。BGMを担当したChoro Club妹尾武がある意味メインアーティストとしてステージを作っていた。そして、アテナの歌として挿入歌になっている河井英里も。そしてそして、当然二つのテレビシリーズ及びOVAのOPとEDを務めたアーティスト達も、そのほとんどが参加していた。
なんて幸せな空間だろう。音楽と共に惑星アクアの空気を感じるかの様だ。
普段からアニメ系イベントに参加しているのは、なんといってもそのアニメの世界を堪能したいから。正にこのコンサートは、その最も望むべき物を提供してくれたイベントだった。
なぜ、このようなイベントがもっと多く催されないのだろうか、と常々思っている。考えるに、一つにはBGMのクオリティがここまで高い作品がなかなか無い、という事があるだろう。例えば、エヴァのクラッシックコンサートなども前例としてあるにはある。けれども、そこまでBGMが評価される事はほとんど無い。
また、BGMだけのコンサートと、アニメという「子供むけ」から連想する娯楽が繋がらない、という事もあるのかもしれない。企画者としては、静かに音楽を聴くコンサートにアニメファンが来て本当に喜ぶのか?という不安もあるのだろう。
けれども、このアリアというアニメ作品においては、このスタイルのコンサートを開き、そして満席の大成功を収めた。BGMのクオリティが高く、なによりアリアという作品が、そのBGMから生み出される「雰囲気」が充分楽しむに値する作品だからだろう。BGMによって満たされたホール全体に、惑星アクアの情景を思い描き、河井英里の歌声に、観客自身がアテナの歌声に酔いしれる作品の登場人物となって、その素晴らしい時間を「体験」する事が出来た。
この事に気付いてこのコンサートを企画した佐藤監督夫妻は、さすが名演出家といえるだろう。
最後に挨拶で登場したその佐藤監督にして「奇跡」と言わしめたこのコンサートだが、ある意味これは奇跡ではない。物語、BGM、演出家、それどれもが高レベルで揃っていた事から生まれた、有り得るべきコンサートだと思う。
アリアテレビシリーズ第3期としてこの体制は今後も続く。ならば、「当然」この大成功を収めたコンサートは再度開催されるだろう。されるべきだと信じている。