空の境界 第一章「俯瞰風景」

やっと見た。
期待していた程度のなかなかの良作。まるでガラス細工のように、美しい映像によって形を成している作品。
映像の美しさは、新海誠の流れを汲むものだろうか。スーパー写実主義というか、心象派というか、写実的美しさを際立たせて、心象表現にまで至っている映像表現は、正に新海誠的。この表現方法は、アニメ制作におけるクオリティ向上の指針として、これからも多く取り入れられるものなのだろう。(と思うと、新海誠ってやはり凄い。)
これだけ作られていれば立派な物だが、ただ、原作を最初に読んだ時の鮮烈な印象に比べると、若干落ちる感じ。後もう少し、シナリオ面での整理を上手くしてくれれば、文句一つ無い作品だったかも。単に「自殺願望」を描くだけで無く、原作ではもう少し「死の魅惑」が在ったように思うのだけれども。けどそれは、1時間という制約上しかたなかったのかな。まあ、原作を読んだのはかなり昔なので、自身の中で美化してしまっているのかもしれないが。単に自分の感性の堕落による物なのか、作品そのものによるのかを判断する為にも、再度原作を読み直してみたい所。