幸福 〜ゆれるツンデレ要員たち(^^)〜

今年の3月14日は――
あなたにはちょっと大変な日になったみたいだけど、
でも――私にとってはとってもいい日だったな。
だって――

by麗
WHOLE SWEET LIFE 2008年3月18日「幸福」
http://gs.dengeki.com/suteki/blog/2008/03/18/post-78.html
たまらんなあ。この「寸止め感」が(^^)。
麗にとって主人公は、居てもらっては困る「男の」家族。彼女の男嫌いはかなり激しいようなので、この思いは変わっていないようだ。少なくとも表面上は。だから、昨日の日記でも、強制的に主人公宛に書かねばならない日記として、サボろうとしていた。けれども、彼女の本心は本当にそうなのか?そう思わせる言動が至る所に見え隠れする。
腹を壊して寝込んでいる主人公を、わざわざつついて寝ているか確認する。
その時には、わざわざホワイトデーに貰ったクッキーも持ってきている。
そんなちょっと子供っぽい、無防備な態度を、最初の頃の麗は絶対に見せなかった。そう、麗は姉妹の中でも最も美形と言われ、男に対して厳しい態度を取るので忘れがちだが、実はまだ全然「子供」と言える歳の女の子なのだ。
男を激しく嫌い、鉄道の話題にしか興味の無い非常に困った女の子なのに、その娘の自分への態度がどこと無く緩んでいる。「男は嫌いだけれども、こいつならばしょうがない。」そんな気配が感じ取れる。この「男だけど許す」という距離感は、実際の「兄妹」の感覚の様だ。まだ小さな妹が、少しずつ心を開いて懐いてくる、そんな様子の「トゥルー」を感じることが出来る。
今日の日記の「寸止め感」は、本当に素晴らしい。

  • 主人公の腹痛の心配をしている・・・ホタ姉様が。
  • ホワイトデーはいい日だった・・・ドクターイエローを見たから。
  • クッキー貰った事がとってもラッキー・・・新作で缶が最高だから。
  • 東京駅で買ってきてくれたの?・・・最後の銀河見た?

まるで、主人公の体へのいたわりや、ホワイトデーに対する感謝の言葉を、口から溢すその寸前で、別の言葉に変えているかのような言い回しだ。また、恐ろしい事に、おそらく彼女はそれを自覚してもいない。なぜなら彼女は、主人公の事を自分が受け入れているとは、彼女自身思っていないから。
それでも、「フフ(ハートマーク)」「あ!/あった!/ラッキーなこと(ハートマーク)」などのセリフの裏には、男心を翻弄する悪女の気配を感じる。主人公を受け入れていないはずの彼女なのに、自分の心にまったく無自覚なまま、裏の裏の心根で主人公を弄んでいる。まったくもって、女の子は恐ろしいw。
とはいえ、そんな自覚があるのか無いのか判然としない麗が、いやいやながらかまんざらでもないのか、主人公に接している姿は、なんとも言えず微笑ましく、嬉しい描写だ。なぜなら、彼女の、この開きかけの心、綻びかけの蕾の様は、今一瞬にしか存在しないものだから。
そして、そんな過程を経て、真の意味で「トゥルー家族」になっていくのだろう。「トゥルー家族」として認め合った時、その「過程」そのものが大切に思える時も来るに違いない。これこそ、「トゥルー家族」にとっての「幸福」の欠片だ。