小林ゆう ファーストアルバム「YOU&YU」CD発売記念ライブ 石丸SOFT2 7Fホール

元々行く予定ではなかったのだけれど、彼女自身の歌をまとめて聴けるなかなか無い機会である事に気が付いて、急遽行く事に。会場はかなり広めの場所なので、入りは余裕があったみたい。
新アルバムの各曲に関するトークを交えながら、かなりの曲を歌ってくれた。
歌を聴いてまず驚くのが、技術が異常なほど上達している事。もう、下手なロッカーなら裸足で逃げ出すほどの歌唱力を身に付けている。元々身体はそれなりに大きいし、声優として声帯は強いしで素質はあるのだろう。それに加えて、彼女の常人の域を超えるであろう「努力」が加わった事により、その能力は驚くべき進歩を遂げているようだ。
なんだか、凄く勿体無い。
小林ゆうの行動を見るに、その生き様はある意味「ロック」だ。明らかに常人の枠を超えた人物であり、それは正に「ロック」というにふさわしい。しかし、彼女自身は、声優の仕事の一分野として歌手活動をしているようであり、彼女の観客に対する態度は、彼女の歌う曲のイメージとギャップが有る。それは、彼女の内面では矛盾しない事なのだろうが、観客としてはその揺れ幅に大いに戸惑う事になるだろう。
例えば、小林ゆうが普段から口数も少なく、クールなイメージでその実力派声優としての仕事を続けていたらどうだろう。この彼女の身に付けた歌唱力は大いなる力になるかもしれない。レベルの高い歌唱力でロックのイメージを増幅させ、ビジュアル面でのレベルの高さからも相当な人気が出る可能性がある。
しかし、今の小林ゆうではそうはならないだろう。なぜならば、彼女はエキセントリックな人としても有名だから。彼女は人を喜ばせる為に、そのエキセントリックさを芸の域にまでわざと強調している様子が窺える。それもまた彼女の得難い才能として「珍重」されてはいるものの、必ずしも万人に受け入れられるとは限らない。今日のトークも、彼女の人格の良さに対する笑い半分、天然な性格に対する苦笑い半分、と言ったところだった。
小林ゆうのこれらの才能を見てしまうと、彼女は「エンターテナー」ではなく「クリエーター」として活動したほうが、より幅広い層から評価を得る事が出来るように思う。そんな事を考えると、やはり「勿体無い」と思えるのだ。
とは言え、ここで表現しているものが彼女の偽らざる姿なのだろう。それを見ることが出来、また質の高い歌を存分に聞く事も出来た。とても満足度の高いイベントだった。

YOU&YU

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