Minori Chihara 1st Live Tour 2008〜Contact〜

久しぶりに時間が空いたので、貯まっているDVDとか見てみる。といっても、これは今日発売か。
ライブDVDというのは、色々と難しいもの。本来、歌の完成度でいえば作りこんだCDの方が上のはずだし、かといってDVDでは会場の生の空気は完全には伝えきれないはず。ライブDVDとしての、何かメリットのようなものが無ければ、単なるライブの記録映像にしかならない。
例えば、昨今の声優DVDの販売ラッシュの引き金になったように思う田村ゆかりのDVDは、その曲の異常な程の甘々さが醸しだす、独特な世界観をDVDに定着させる事に成功してる。売り上げトップの水樹奈々は、その歌唱の完成度に加え、ライブに適したノリのよい選曲で臨場感の再現度が高く、正に王道と言った感じ。アイドル声優No1の堀江由衣は、後発の強みとして徹底的なパッケージ強化を目指し、物語的な舞台作りを取り入れている。さすが、この3強はどこに出しても恥ずかしくない、魅力的なライブDVDを作っているといえるだろう。この中に入っていくのはかなり難しい。
今回DVDに収録されている茅原実里のライブは、ライブハウスでステージも比較的小さく、選曲もあくまで新アルバムにこだわってバラードが多く取り入れられている。ある意味、茅原自身の歌唱力のみにかなりの部分で頼らざるを得ないDVDになるだろう。これは、必ずしも歌唱力一本で売っている訳ではない声優であれば、それなりに厳しい条件下と言えるかもしれない。
しかし、茅原実里はそのような試練を、かなり力強く跳ね返しているように思える。やはり彼女の力は歌唱力が第一。その歌声に頼るコンテンツならば、彼女にとって願っても無いことだろう。存分に、ライブの臨場感を加えた彼女の歌声を聴く事が出来る。
また、映像演出もかなり力が入っている。比較的狭く見えるライブハウスとして、演出に取り入れられるのは観客のサイリューム。茅原と観客との掛け合いが綿密に描かれ臨場感を高める。
カメラワークの凝り方もかなりのもの。圧巻なのが「君がくれたあの日」。かなり強めの演出で、まるで音楽映画の一シーンのように熱い映像だった。この一曲だけでも、このDVDを見る価値は充分あるだろう。
「純白サンクチュアリ」の、決して涙を見せない感動に震えた様子なども、彼女の誠実さを感じさせる名シーン。どう考えても不器用で、それでいて胸の中に何か熱いものを感じさせる彼女の「形」を見て取る事ができる。
まだ活躍の始まったばかりの彼女は、色々な部分で固まっていない未完成な点もあるように思う。しかし、それもまたこの一瞬を見るという意味でもこのDVDの魅力の一つだろう。より大きな活躍の場における彼女の姿を期待したいものだ。

Minori Chihara 1st Live Tour 2008~Contact~LIVE DVD

Minori Chihara 1st Live Tour 2008~Contact~LIVE DVD