ネギ、その恋の終焉?

ネギは、ラカンから明日菜の事を色々と教えられる。「黄昏の姫御子」「完全魔法無効化能力」「父が守れなかった少女」。それは明日菜に対する認識を大きく変えなくてはいけないほど重たいものだった。
ネギは、明日菜との今までの思い出を色々と想い返す。そして、出した結論は「アスナさんはアスナさん」。確かに、ネギの明日菜に対する係わり方は、きっと今後も変わらないだろう。
しかし・・・、と思う。ネギは、明日菜に対して、ネギ自身も気付いていない感情を持っていたように思う。それは「淡い恋」。この秘められた仄かな感情も同じように続いているだろうか。
ネギの父ナギの盟友からの頼み。それは「父の忘れ形見」であるアスナを守る事。この依頼は、ネギの心の中でも最大に重要な事柄となるだろう。
「父の忘れ形見」である明日菜。そして、その父の子であるネギ。この依頼により、ネギにとっての明日菜は、「実の姉」に限りなく近づいたのでは無いだろうか。
ネギが明日菜の思い出を思い返すとき、最初に無意識に出てきた記憶は図書館島での入浴シーン。(9時間目)この時、ネギは明日菜の裸体に見惚れる。この時からネギの明日菜に対する淡い恋心が芽生えたと言って良いだろう。その後、ネギ自身全く自覚していないものの、この淡い想いはずっと続いていたように思える。
しかし、ネギはこの思い出を否定しようとする。それは、単に自分の中の邪心(性欲)を咎める意識だけなのだろうか。ネギの見た明日菜の思い出の中には、もっと恥ずかしいものがいくらでもあるはずだ。ここでネギが無意識に思い出して否定しようとしているのは「邪心」ではなく「恋心」なのでは無いだろうか。
実の姉に近しい存在である事が分かった明日菜。その明日菜に対する恋心は、純粋な肉親愛を向けようとする時に障害になる。そんな、ネギの無意識の心の動きが、このシーンには現れているように思える。
ネギの明日菜に対する恋心は、彼自身も気付いていないほど、本当に淡いものだった。
それがこの時、人知れず消滅したとするならば、とても切ない。
「いつも強くてまっすぐな カッコイイお姉さん
 僕の大切なパートナーなんだ」