魔法先生ネギま! 222時間目 ネギvs.フェイト

うお、連番だ。ネギまは後何回連番を更新する事になるのかな?
という事で(どういう事で?)、かなり長文になってしまった。

  • サブリーダー会議

ネギま部」の部長は明日菜だが、実質的な組織「白き翼」としてはネギがリーダー。そして、それを支える形でメンバーがいる。その中で、独自の視点を持ち、目的を持って皆に指示を出す事ができるサブリーダーと言えるのが、現在の所、明日菜、刹那、千雨の三人と言える。明日菜はリーダー・ネギの希望を汲み取り推進する精神的な支え。刹那はその戦闘力をもって全員の安全を図る武力の要。千雨はチームを客観的に捉える視点を持ち総合的な判断を下せるチームの頭脳。この三者が自分の組する行動グループのの代表として打ち合わせをするのは、納得の行く所。
しかしそれは、この後行動グループが分かれる事を意味する。その事に対する懸念が、正に形となって現れたのがフェイトだろう。事実、ここでは既に戦力として楓と刹那を欠く事になる。

  • 明日菜の「神の目」

明日菜の視力の凄い所は、単に「目が良い」と言うだけでなく「必要な事に気付ける」という事。それは、並外れた視力に加えて、非常に優れた動体視力と視野の広さ、視覚情報に関する注意力の高さがあるからだろう。彼女は一体どのようにしてこのような「目」を手に入れたのだろうか。ガトウの教えによるものなのかもしれないが、時として達人の域すら超えるこの能力は、もしかしたら、彼女の持つ「神代の力」の一つとして数える事が出来るかもしれない。

  • 闇の紋章

闇の魔法取得の証しであるこの「呪紋」は、魔力濃度の高まりによるものだろう。魔力そのものであるとするならば、それは「魔力を見る目」で見ないと見えないものなのだろうか。少なくとも明日菜は見ることが出来ていたが、明日菜も魔力を扱える様になっているので判断材料にはならない。
ともあれ、それを見たフェイトは何か気付いたようだ。モルボルグランさんがその存在を知っているくらいだから、フェイトが闇の魔法の特性を知っていてもおかしくない。フェイトは、ネギが手に入れた新たな力に気付いたと考えても良いだろう。

刹那はフェイトに勝てない。少なくとも、簡単に「死の間合い」に入り込まれている様ではそう判断せざるを得ないだろう。刹那は、曲がりなりにも魔力の戻ったエヴァを下すポテンシャルを持っているし、そのエヴァはフェイトを軽くいなしていた。それなのに、刹那はフェイトに勝てない。これはどうしてなのだろうか。
刹那の戦闘履歴を思い返すと、彼女は重要ところで必ず一歩出遅れる。実戦における「勝利」に必要な要素が、決定的に足りないように思える。この刹那の欠点と思えるものは、刹那が「重要なもの」を守る際に、必ず彼女を窮地に追い込む事になるだろう。刹那には、まだ乗り越えなければならない大きな壁がある様に思う。

  • BL

ショタ系BLキターw。フェイト超S攻め×ネギ抵抗M受け、ですかw。こういうの、女の子受け狙いもあるのだろうか。少なくとも、女の子みたいにキレイな顔のフェイトが、ネギに極限まで顔と顔を近づけるシーンは、妙にSMチックでエロくて良かった。

  • 司令塔千雨

千雨の持つ電子の精霊は、比較的短距離ならば朝倉の「烏」と似たような性能を発揮するようだ。戦闘地域から離れて、なおもその状況を把握しながら指示を出せる立場に立っている。もう立派に魔法使いと言っても良いだろう。実際に「助けを呼ぶ」という案を出したのはカモだが、その案を評価・補足して助言し、実際の行動に出ず情報集積地点に留まっているのは千雨だ。「白き翼」が危機に際して組織的な行動を起す時に、一番頼りになる司令塔はやはり千雨と言えるだろう。

一つ気になっている事がある。それは、大分裂戦争時「紅き翼」メンバーとして活躍したラカンだが、その後にナギと同行している姿がないのは何故か、という事。ラカンは世間的には死んだと思われていたようなので、アルと同じ様に、ダメージを受けて戦線から離れていたと推測する事も出来るが、それ以外に、もう一つ理由が考えられる。
それは、ナギと行動理念が異なり、袂を分かつ事になったのでは無いか、という事。そして気になるのが、今まで描写されている「ラカンと一緒で無い」ナギの行っている行動は、ほとんど「アスナが絡んでいる」という事。
つまりどういう事かというと、「ラカンは、ナギがアスナを助けるという行動を認められず、紅き翼から抜けたのではないか」という事。実際、ナギの行動が原因でウェスペルタティアという国一つを滅亡に追い込んだ可能性がある。この推測上のラカンの立場の方が正しいと思える状況もあるのだ。
世界を救う為に一人の少女の犠牲が必要・・・そんな状況の時、世界を救う道を選ぶ英雄がいてもおかしくはない。ラカンには少女を捨ててでも世界を救うべき、と考える何かがあったのかもしれない。
もしそうだとしたら、このネギの危機に際してラカンはどのような行動に出るだろうか。もしかしたら、明日菜をフェイトに渡す行動を認めるかもしれない。つまり、カモによって連れてこられた、最大の味方と思っていたラカンこそが、ネギの最大最悪の敵になる可能性があるだろう。
そう考えると、前々回の「守ってやれ」というラカンの言葉は、師匠として、想像以上に重いセリフだったという事になる。なぜなら、「師匠である俺に勝て」という事なのだから。
まあ、妄想の域の展開だがw。

  • 珍しいネギの態度

ネギは元々、同年代の者に対して対等の口調で話す。しかし、そのような機会は魔法先生となってからはかなり稀だ。だから、フェイトとの対立が明日菜達にとって珍しいと感じるのは当然と言える。
ただ、この時のネギはそんな態度に輪をかけて、厭味を言うなどの陰険な態度になっている。これは、やはり闇の魔法の影響があると考えても良いだろう。ネギの表情も、鍛錬時の歪んだ顔になっている。

  • 既に乗り越えていた二つのもの

このフェイトとの舌戦において、ネギ自身の「成長」ともいえる部分が見えてきた。
一つは、闇の魔法の影響によるもの。ネギは元々「優等生」だ。そんな彼は、自分の中に「悪」があると認める事をとても苦手としており、全てを性善説で捉える性癖があった。しかし、それは子供っぽい思考と言える。人は自分の中の悪を認めてこそ、大人になりえるのだから。
超戦における一つの決断を超え、それでもなお自分の判断に自信が持てないでいたであろうネギだが、闇の魔法に出会い、「負の感情」に積極的に向き合う状況に自らを追い込んだ。闇の魔法が使えるという事は、自分の中の悪を認めるのと同義だろう。ネギは闇の魔法と付き合うことにより、「優等生」のレッテルを乗り越え、大人の思考に近づきつつある様に思う。
そしてもう一つは、ネギの本来の目的「立派な魔法使いになる」という事。ネギの思考の流れとしては、「父に会いたい(近づきたい)」→「マギステル・マギ(立派な魔法使いになる)になれば父に近づける」→「マギステル・マギになるには修行が大切」→「修行は魔法先生を勤め上げる事」→「魔法先生としてクラスメイトと接する」というものだった。
しかし、この流れの末端部分を端折って、根本動機「父に近づく」機会が巡ってきている。それは「世界を滅ぼす一味の行動を阻止する」というもの。この機会を使えば、例えそれが失敗したとしても、ネギが元々願っていた「立派な魔法使い」の行動になりえる。それは以前の少年ネギには到底回ってくる事が無い、ヒーローになりえるチャンスだろう。これを掴めば、「魔法先生」「クラスメイト」という要素は、ネギの目的から外してしまってもなんら問題は無いと言える。
そして、この後の「クラスメイト」はネギの目的ではなくなり、ネギの「スタイル」の問題になるだろう。人としてどう生きるか、人とどう接していくか、というスタイルの問題だ。ネギは自分の目的を遂行する過程で、自分の生徒としてクラスメイト達との「出会い」を得た。その「出会い」をどう捉え続けていくのかは、ネギの心のあり方次第になったと思える。ネギは、この変化によって、より純粋な視点に立ち返り、教職に対する認識を捉えなおす機会を得るのかもしれない。

  • 計画とお姫様

やはり、フェイトの計画にはアスナが必要なようだ。しかし、当初フェイトは明日菜にそれほど関心を持っていなかったようにも思える。これは一体どういう事か。
一つ考えられるのは、明日菜は取り扱いが難しいだろうという事。明日菜を掌中に収めたとして、魔法無効化能力を持つ明日菜をそのまま長期間留め置くのは、それなりに面倒だろう。泳がせておき、タイミング良く手に入れた方が都合良かったのかもしれない。
また、魔法世界の計画に、現実世界に居るはずの明日菜の存在が組み込まれているのは矛盾があるようにも思える。しかし、麻帆良学園は一種の要塞。元々、そこにいるであろう明日菜を連れ出すのは難しいのだ。そうなると、気になってくるのが世界樹最深部のゲートと思しき遺跡だ。あれはもしかしたらオスティアの休止ゲートに繋がっているのではないか。ゲートが開けば要塞たる麻帆良学園も内側から潜入でき、後から姫様を確保する計画だったのかもしれない。
対流する魔法世界の魔力、唯一つだけ開かれるゲート、そして完全魔法無効化能力をもった少女。これらが揃った時、一体何が起きるのだろうか。少なくとも、このような展開になれば、麻帆良学園に残っている他のクラスメイト達の出番も巡ってくるだろう。

  • フェイトの目的

なぜフェイトは取引を持ち込んだのだろうか。「一人を犠牲にすれば全員無事」そのような条件をネギが飲むと思ったのだろうか。価値観が違うとは言え、フェイトはネギの思考をかなり把握している。この取引の決裂は、フェイトの予想通りだったのではと思える。
では何が彼の目的なのかというと、一つには、ネギを怒らせる事だったのかも知れない。ネギ達は指名手配中だ。オスティアにおける指名手配犯ネギ達の存在を世間に知らしめれば、その行動をある程度制限させる事ができるだろう。
しかし、それでも解せない。そんな事のためにフェイトの計画に明日菜が必要(もしくは居れば有利)という情報をネギに渡すだろうか。情報漏洩は陰謀遂行において最も回避すべきもののはずだ。
結局、フェイトはネギと係わりたいのかもしれない。フェイトの目的の一つが、ネギの最も大切な「仲間」明日菜である事を事前に知らせ、真正面から戦う機会を作っているように思える。
フェイトの正体は未だ不明だ。もしかしたら、フェイトには、ネギに敵愾心を燃やすべき理由が、今まで描写された因縁の他にもあるのかもしれない。
次回、そんなフェイトの思惑通り、祭典の最中である平和な公園が、凶暴な戦闘地域に変わってしまうのだろうか。