魔法先生ネギま! 225時間目 宣戦布告!!

明日菜、いいなあ。「バカっぽさ」全開w。というか、バカっぽさの強みが実に上手く表現されている。
フェイトの要求は、最初から周囲数百人を人質にとるやり口だった。それを一旦回避して、体制を立て直すというのも戦略としては正しい。というか、普通はそれしかない。
けれども、フェイトのこの提案には、どう考えても裏がある(実際にあった)。さらに、ネギは敵の言葉にそのまま乗る事を精神的な敗北と思い込んでもいる。この二つ、特に後者の理由から、この提案は絶対に受けてはいけないものになっていた。
どっちも選んではいけない。ではどうするか? そんな選択の時、必要なのが「バカっぽさ」なのだろう。つまり、自分の運を、いや「生き方」を信じる力。
明日菜の一喝で宣戦布告を決断するネギだが、その直後刹那が強襲される。もし、この攻撃が決まって刹那が死んでいたら、確かにバカな決断でしかないかもしれない。しかし、それでも進まなければならない時もある。それが更なる悲劇に繋がろうとも、自分自身の存在意義として、絶対に選ぶべき決断がある。明日菜の持つ「バカっぽさ」の根底は、そのような強さにつながっている。
これこそ、メインヒロインの面目躍如と言ったところだろう。「大丈夫!!」と言い放つ、この精神の強靭さは好ましく思う。

  • 明日菜のハリセン

ネギとフェイト、同じ方向から当たっているという事は、一閃で、ハリセンの根元でネギを(痛そうw)、先でフェイトを叩いたという事だろう。つか、これネギに当たった後、勢い落とさずフェイトに当たるくらいなら、最初からフェイトだけ狙って斬馬刀で斬りつければ、フェイト、ヤれたんじゃねw。まあ、明日菜がそんな事するはず無いけど。
真面目な話、明日菜はフェイトとの最初の遭遇の時も、難なくフェイトにハリセンを当てている。明日菜の潜在的戦闘ポテンシャルは、実はフェイトに匹敵するもののはず。それが記憶と同じく封印されているのだろう。精神の強靭さと合わせて、彼女が本来の記憶を取り戻した時、どのような存在になるのか見てみたいものだ。

  • 罠の真意

フェイトの罠は、ネギに戦線離脱を宣言させ、その宣言を強制させる魔法具でネギの行動を縛ることだったようだ。つまり、今回のフェイトの行動において、「ネギを作戦から引き離す」というのが目的なのは確かな事だろう。
しかし、その制限にはクラスメイト達は含まれていない。もちろん、ネギが帰還すればそれに付いてネギパーティも帰還する事になるかもしれないが、同時に、そうならない可能性もある。つまり、ネギを除くパーティだけが魔法世界に残って戦うという可能性は残る。その中には明日菜も含まれるだろう。
しかし、フェイトの罠にはそれを考慮する気配は一切無い。つまり、このフェイトの罠において注目されているのは、唯一ネギだという事になる。かなり重要なコマと思える明日菜だが、組織の遂行する計画にとって、彼女は魔法世界にいてもいなくてもあまり問題ではない、という事になるのかもしれない。
それにしても、ネギの行動を制御するだけが唯一の目的というのは、かなり奇妙だ。今回のこのフェイトの罠は、もしかしたら、組織の計画そのものとはあまり関係無いのではないかと思える。もちろん、計画を邪魔をされるのは本意では無いだろう。しかし、ネギ「だけ」を排除しただけでは根本的な問題は残る。
それよりも、ネギだけを排除する理由として「ネギの安全を確保する為」と考えた方が辻褄が合うのでは無いだろうか。ゲートポートでの一戦の時にも、フェイトは言っていた。「死なれては困る」と。
フェイトは計画遂行の為に行動しているのだろう。しかし、今回の罠は、その計画とは別に、若しくは計画の最終段階でネギ自身が必要(今は不要)で、ネギを戦闘に巻き込まず「生かしておく」という目的の為に行われたように思える。

  • フェイトの立場

しかし、やはりフェイトはネギと一戦交えたいという「私欲」があるらしい。フェイトとしては、本意ではない罠を遂行せざるを得ない立場にあったようだ。だからこそ、反発を受けるような言動も強く、彼の本心が読めなくなっていたとも言える。
フェイトは魔法世界に対する何らかの計画を遂行する為に「何者かに」作られた存在だという。つまり、彼にとって計画だけが重要なものであり、他は全て些細な障害に過ぎないはずだ。しかし、フェイトのネギに対する執着は、やもするとその計画遂行よりも重くなってきている。これは、単に京都で戦ってからの因縁によるものなのだろうか。
そこで気になるのが、フェイトがナギの事を「彼」と呼んだことだろう。真意は掴めないが、フェイトに指示を出す者からは「ネギの生命保持」が求められているらしい。それとフェイトのネギへの執着を考えると、フェイトへ指示を出す者と、ネギの父ナギの関係性を意識せざるを得ない。フェイトを作り出した存在と世界の救世主ナギとの関係は、今現在も本当に単なる宿敵なのだろうか。他に何らかのつながりが有るように思える。
そして、そんなしがらみを断ち切ってくれるネギの決断に、フェイトは「望みは叶った」とまで言う。ネギとフェイトの因縁は、今までの物語で明かされている以上に深いようだ。

  • 再戦

フェイトは、まるで「人質をとった」という宣言を守るかのように「冥府の石柱」を公園上空に出現させる。
しかし、ネギはそれに怯むことなくフェイトだけを追う。もちろん、このまま石柱を放っておけば、公園に落ちて大惨事になるだろう。しかし、その元凶であるフェイトを捉えなければ、状況は好転しない。それに、このフェイトの技を見るのは二度目だ。これに対抗する手段はわかっている。明日菜はこの石柱を消去する事が出来る。もちろん、以前のままの明日菜なならば完全に防ぐ事は出来ないかもしれないが、彼女も成長しているはず。他に刹那もいる。そんな、仲間を信じての行動だろう。
フェイトは、ネギの披露した「闇の魔法」に対して単なる「魔力のドーピング」とあざ笑う。確かに、その様な見方もあるだろう。しかし、ここでラカンが言っていた、エヴァの「妙な鍛え方」という言葉が意味を成してくるのだろう。「闇の魔法」単体では、単なるドーピングでしかないのかもしれない。しかし、特別な鍛え方をしていればそのポテンシャルを引き出せるという事。もしかしたら、エヴァも最初からこの技をネギに伝授するつもりで指導していた可能性がある。
最後の見開き前のコマ。これはあのゲートポートの戦いの時、ネギが胸を貫かれる前のコマと対応しているだろう。しかし、その次のシーンでは全く逆の展開になる。一対一、打ち勝つ形でフェイトを吹き飛ばすネギ。これでようやく、ネギはフェイトと同じステージに立った事になる。

DVD付き初回限定版『魔法先生ネギま! 24巻』 (講談社コミックス)

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