マクロスF ギャラクシーツアーFINAL こんなサービスめったにしないんだからね in ブドーカン☆ 日本武道館

まいったなあ・・・。これには、本当にまいった。これほどまでに素晴らしいステージを見せ付けられると、なんだか虚脱状態になってしまう。正に感無量だ。
このライブの主役は、アニメマクロスFの主役でもあるシェリルとランカの歌姫、May'nと中島愛だが、やはり、それ以上に存在として大きいのが菅野よう子だろう。
二人の歌姫の持っている曲数はそれほど多くは無い。それらをただ並べ立てても、決して良いライブにはならないだろう。しかし、TV放映時にもあったメドレーを導入に、二人を入れ替わり立ち替わり舞台に立たせ、その後、ランカ、シェリルのソロパートに流れるようにもって行く。そして、物語の核心ともリンクするような深いナンバーをたっぷりと聞かせて感動させ、そこからより加速度を挙げて行って、最後にはまたメドレーで散開する。さらに、アンコールでスペシャルゲストの登場と、皆が一つになるような楽曲で感動的なフィナーレ。さらにさらに、このツアーの名残を惜しむような、エンディングロール。曲の間にはテレビシリーズのBGMも散りばめられ、それらの展開が流れるように、全てが完全に一つとなって提示されている。正に、「カンノヨーコオンステージ」ともいえるライブだった。
こちらとしてはたまったものではない。最初から最後までほぼ立ち続け、驚喜されられ続けるのだからw。
実際の所、私がアニメに関するイベントに通い続けているのは、より深くアニメの世界を「体感」したいと思うから。その点、歌のイベントなどは、歌という「聴覚」を体感する意味で、出来るだけ大事にしたいと思っている。しかし、それらのイベントにおいて、少しだけ不満に思っていたのが、「何故同時に映像も活用しないのだろう」という事。アニメの良さは「聴覚」と「視覚」を同時に刺激するもの。なのに、アニメのライブイベントなどで、声優は出演してもアニメ映像を活用するものはほとんど無い。今の時代、ニコ動のMADなどで、アニメと音楽の合体が当たり前のように持て囃されているのに、そのよう技がライブに流用される事は無い。おそらく、映像の管理が難しいからだとは思うが、それが上手く行ったときの効果は絶大なはずだ。より良い演出の為にやって欲しいと常々思っている。
そして、このステージにおいては、それが実現していた。このステージの白眉と言えば、シェリルが歌う「ダイヤモンドクレバス」の時だろう。ミシェルの散華シーンがスクリーンに映し出され、会場内は完全にマクロスFの物語世界に引き込まれていた。歌が終わった時には、そこかしこから鼻を啜る音が聞こえる始末。こういった、アニメ映像と音楽の融合を実現したイベントこそ、一番望んでいたのだ。そういえば、武道館と言えば先に行われた久石譲コンサートなども映像を活用していた。このようなトップクラスのステージにならないと、なかなか実現できないものなのだろうか。規模の小さいものでも、チャレンジする事でより良いものに出来ると思うのだけれども。
そして、もちろん、May'nと中島愛の二人の歌も素晴らしかった。May'nはこれが本当に19歳か、と疑うほどステージ上の存在感が大きく、歌も素晴らしい。アイモをアカペラで歌う時など、武道館のど真ん中でマイクを離して歌い上げてしまう、その度胸が凄い。中島愛は、正に超時空シンデレラの名に恥じぬ存在。デビュー数ヶ月の初々しさと、それが成長した頼もしさを同時に持ち合わせ、その煌びやかな声で愛らしさや切なさを振りまいていた。
・・・これが、この素晴らしいステージが、これを最後に終演となってしまうというのは、実に切ない。何年もの間捜し求めた居たものが、やっと巡り会った瞬間に消え去ってしまったような、どうしようもない虚脱感に見舞われてしまった。
しかし、なかなか巡り会えないからこそ、このような泡沫の夢ともいえるライブの良さが引き立つのだろう。4半世紀もの時を超えてマクロスというコンテンツが熟成し、マクロスFという名作が誕生し、菅野よう子という天才と二人の歌姫が出会い、アニメ関連ライブ活動が活発になってきているこの時期と巡り会い、このようなイベントが実現した。これらの要素なにか一つでも欠けていれば、今回の素晴らしいステージは実現出来なかっただろう。正に幸運の積み重ねによる「奇跡のステージ」だ。このようなライブに参加できた幸運を、実にありがたく思う。
出来うるならば映像化してもらって、この感動を思い返したいなあ。

マクロスFO.S.T.2 「娘トラ。」

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