魔法先生ネギま! 263時間目 チュ〜チュ〜カーニバル(ハートマーク) episode3

パクティオー祭りの第三弾、茶々丸編。これにて打ち止めとか。案外、妥当な所に落ち着いた感じだろうか。
茶々丸は、その存在がロボットから段々と人の心を持つまでがこれまでにもしっかり描かれているので、その心の成り立ちの柱としてネギへの恋心もあり、パクティオー対象者としては実に妥当。魔法世界のサバイバル編になって、ネギと最初に行動したクラスメイトでもあり、魔法世界で最も内面が描かれたキャラクターの一人と言えるだろう。
今回は特に、自分には魂があるのか、という大問題に直面し、その事によってこの回の中だけでも心の成長があった様に見える。新しいボディーを手に入れたばかりの魔法世界に来た直後には見られなかった、非常に豊かな表情を見ることが出来る。それは、ロボであるという事をまるで感じさせないほど。ロボとしての全くの無表情から、段階を追ってその心の成長を見て来た読者としては、その泣いたり、悲しんだり、恐れ、憂えたりという、全くの大人の女性の表情を見せる茶々丸の姿を見るにつけ、それだけで嬉しいものだ。これでカードが出なくってもいいじゃないか、「そんなの飾りですよ」とか思ってしまう。まあ、彼女が悲しまない結果が出た事も確かに嬉しいが。
さて、折角なので、ここで行われている「魂談義」に少しだけ参加してみたい。
まず、現実問題として「魂は存在しない」。あると信じても良いが、現実には、まあ、無いだろう。
しかし、「ネギま世界」は、魔法が存在する世界だ。その魔法自体、結構曖昧な定義のようなのだが、精神の世界の力が現実の世界に力を及ぼす魔法があるという事は、魂というものがあると考えても、なんら不思議ではない。
さよという幽霊がいるのだから魂が有るに決まっているじゃん、という事もいえるが、これについては実は不確定要素がある。それはもしかしたら魔法によって定着している精神体かもしれいないという可能性があるから。精神体=魂じゃんとも思えるが、絶対同じとは限らない。例えば、科学の進歩で、自分の身体とは別の存在で全ての情報がモニターが出来たとして、その存在を魂と呼べるのかと言えば違うだろう。
つまり魂の有る無しは、その存在が根源的なものか、そうでないかで決まってくるのではないかと思う。実際、なぜさよは別の幽霊ととコミュニケーションが出来ないのだろう。もしさよのような自縛霊がいるのならば、その世界にはもっと幽霊が頻繁に存在してもいいはずだ。
と、まあ、こう考えていくと、茶々丸の魂を否定するような話になっていくのだが、それ以前に、ネギま世界は魂の存在そのものが疑わしい、少なくとも証拠が存在しない世界という話になってくる。
しかし、実際には魂は存在するのだろう。それは精霊と呼ばれる存在によってある程度推測される。つまり、ネギま世界は精霊世界なのだ。ありとあらゆる事象に精霊と呼ばれる存在があり、おそらく魔力もそれと綿密に関係している。あらゆる事象に精霊が居るという事は、それは世界が根源的に精神と物質とが同等の存在であり、つまり人を形作る「もの」も単に肉体だけではなく魂もあって成り立っていると考えるべきだろう。つまり、根源的な魂がありえる世界という事だ。
そして、茶々丸の問題も、これで簡単に解決される。つまり、精霊世界とはネギの言っている「八百万の神様」の話と同じだからだ。どんな物質にも精霊=魂は宿っている世界。なのだから茶々丸が魂を持っているというのは全く不思議ではないという事になる。ネギがデタラメと言って、話の筋的には誤魔化しているけれども、実際にはこのネギの説明が一番正しいというのが、作者からのメッセージだと思われる。
ここでの描写では、ネギ君の力技という事になっているが、これは妥当な描写であると共に、少し残念な描写でもある。
最初キスをするが、それではパクティオーに届かない。それはつまり、パクティオーが互いの魂が互いを認めて繋がることから生まれる契約であり、茶々丸が自身の魂を信じる事ができない事で、それに達しなかったという事なのかもしれない。対してネギは自身の魔力を大量に送り込む事で精神を茶々丸という存在の中に突入させ、その圧倒的な力で未だ漠然としている茶々丸の精神を絡め取った、という風に解釈すればよいか。そして、一度証明してしまえば、それは科学の証明と同じ、確固たる物となり、茶々丸の魂は明確にそこに生まれた、という事になる。
非常に判りやすい描写ではあるが、あまりにストレート過ぎて、少し残念な気もする。
というのも、この魂談義は、先ほどから語っているように、精霊の存在や魔法の存在にも絡む、物語世界の設定を規定出来る、曖昧な境界線を取り扱っているからだ。つまり、これはもっと手間隙かけて語れば面白く出来るはずだし、ネギまの世界設定ももっと明確で複雑に描写出来たはず。
例えば、茶々丸と言えばやはりもう一人の「対」となるキャラは千雨だ。彼女の電脳世界と絡めて、魔法世界の魂談義をより深めながら茶々丸パク話をしてくれると、それが物語りの核に触れなくても、とても興味深い面白い展開が出来たと思うのだが。それって、一体何の士郎正宗漫画とか言われそうだがw。
とはいえ、茶々丸の幸福への物語としても、ネギと魔法世界の物語としても、今回の展開で充分。この辺りが妥当なのだろう。
次からは魔法世界最終章に向けてのラストスパートが始まるのかな?確かにそれも早く見たいよね。