水樹奈々 紅白歌合戦出場 観戦記録

ついにこの日がやってきた。
我らがオタクの希望の星、水樹奈々が紅白に出場する。彼女の出来次第でオタクの未来が変わるといっても良いくらいの、正に、天下分け目の大決戦の時だ。当然、超真剣に、気合を入れて鑑賞に臨まなくてはならない。
しかし・・・、しかしだ。こんな時に限って、客が大量に押し寄せる始末。当然やつらは一般人だ。仕方がないので、ビデオ録画をしっかりしておく。
けれども、この一大事にリアルタイムで水樹奈々を見ないなんてありえない。「年末は紅白」とかなんとかなだめすかし、みんなで紅白を見る事に。
狭い部屋に大勢が入り込んでの鑑賞会なので、床暖房とか普段から使わない暖房をガンガン使う。なんて環境に悪いんだ。全員帰れ。
心の中で悪態をつきつつも、ついに水樹奈々が歌う順番がやってくる。内心ドキドキだが、皆の前では冷静を装う。ふん、俺には録画があるもんね。後で、裸で正座して見よう。
だいたい、他の連中は水樹奈々が眼中に無い。誰?とか言ってるし。くそっ、まだ一般人への認知度は今一歩か。水樹奈々、もっとビッグになって世間を見返してやれ。例えば・・・、ジブリに「水樹奈々女一代記」とか作ってもらって、公開するとか。・・・駄目か。
とか、内心ぐらぐらと想いをめぐらせているのだけれど、当然、鑑賞には集中できず。「醤油取って来て」とかじゃねえ!
そんなこんなで、水樹奈々のいやオタク達の一世一代の大舞台は終了。くそ、ビデオだ。俺にはビデオがある。
ところが、だ。
突然、ここで部屋の中が真っ暗になる。なんだ?停電か?いや、ブレーカーだ!!
「ミルク温めようと思って」レンジを使ったらしい。
「うぎゃゃゃー」
俺の発する奇声に皆が驚くが、かまってはいられない。すぐにブレーカーを立ち上げて、ビデオをチェック。どうだ、どうなんだ? おお!記録が残っているぞ。流石パナソニック、一時保存もしてくれているのか。しかし、中を確認するまでは安心出来ない。
ん、妙にデータ量が少ないな・・・。こ、これは・・・。
orz
おわた。俺、終了のお知らせ。
水樹奈々の部分だけすっぽりと記録が飛んでいる。なんという、バッドタイミング・・・
そんな、目がうつろな俺を尻目に、客どもは紅白鑑賞を続ける。
「デジタル審査員だって。どっちすっか?」「ここまでだと、やっぱ白組じゃね。」
・・・赤組に決まっているだろ−!!勝手にボタン押すな!!
・・・
歳の終わりに怨念の塊となったオタクは、その後の年越しマージャン会において、復讐の鬼と化した。超安手で上がりまくるという、陰険かつせこい手で全員から点棒を巻き上げトップで逃げ切り、場を超しらけムードにして憂さを晴らしたという。