魔法先生ネギま! 277時間目 魔法世界、消滅!!?

かなり激しい展開だなあ。
一つ分かったことがある。こういった激しい展開だと、感想を書きづらい。その理由は、感想を書く理由が無くなるから。
ネギまは今まで、基本的にゆるい世界観の中で展開してきた。しかし、その裏には結構深い設定が見え隠れしていた。だから、その隠された設定を「掘り起こす」事に快感をおぼえ、いくらでも感想を書く事ができた。けれども、このようにいわゆる「ジャンプのバトル物」風にギリギリを描写されてしまうと、こちらから突っ込みを入れる余地が無くなってしまう。つまり書く理由が無くなってしまうのだ。
凄い展開だ。ハラハラしながら読んでいる。
これだけで感想終了。そんな気分にされられる。実際の所、色々と新たな情報は出てきているのだけれども、それも設定としては予想の範囲内。
しかしまあ、折角なので、付け足して書いてみよう。
魔法世界の住人がとにかくどんどん消えている。これは、「リライト」という魔法によるものであり、その魔法の効果からすると、あまりに安易に物が消えすぎる。消える「リライト」があるなら戻す「リライト」もあるかも、という理屈が成り立つので、彼らの消滅は決して絶望的では無いかもしれない。
けれども、それは理屈の話。
目の前で人の身体が消えるという事は、正に「死」だ。のどかにしろ、亜子にしろ、夕映にしろ、自分の目の前で、一度は心を通わせた人間が「死んだ」という事には変わりは無い。
漫画とかの空想の世界では簡単に人は死ぬが、現実には人の死とは特異な事だ。目の前で起きる事など滅多に無い。病院でひっそりと、あるいはある日突然遺影となって、人は死んでいく。目の前で、今まで元気にしていた人が一瞬で死体になった時、人間の意識はどう作用するか。多くの人は「生命は生き続ける事が当たり前」という常識の中で生きている。それが取り払われる。その常識は、その人が生きていく上で根幹を成す部分にあるもので、これを傷つけられた時、人は大きなトラウマを残す。下手をすれば気が触れてしまう。例え、その死が偽りだったとしても、人が死ぬという認識が与えた心の傷だけは本物として残ってしまうのだ。
つまり、今、この魔法世界でこの地獄絵図の中に放り込まれたクラスメイト達は、例え体が無事だとしても、充分深い傷を与えられ続けている、という事になるだろう。
とはいえ、とにもかくにも、これでネギチーム達は、否が応でも魔法世界に最後まで付き合うことになりそうだ。クラスメイト達は、そのほぼ全員が大切なものを奪われたのだから。それを取り戻す為の戦いを彼女達も始めなければならないという事だ。何もせずに麻帆良学園に逃げ帰る事など出来ないだろう。
心は傷つけられた。復讐に燃えるべきか。いや、真実を暴いて、その死の意味をまず知りたい。そして、その過程で、もしかしたら彼らを生き返らせる方法が見つかるかも知れない。
単なる逃避行だったものが、この混乱を期に変質していくだろう。残された者は、消えて行った者達の為にも行動しなければならないのだから。
今はただ、のどかがそのどちらのグループに属する事になるのか、それだけが気懸かりだ。