野中藍 AIPON BEST BOUT 2010 〜燃えあがれ!!天をも焦がす野中藍の歌魂〜 Shibuya O-EAST

なんというか、大歓喜。凄い野中藍が帰ってきた。
野中藍のライブについては、以前から色々思うところがあった。というのも、最初のライブ「あいぽんショー」において、その「凄すぎる」パフォーマンスに度肝を抜かされたから。あのステージは本当に凄かった。その雄姿はDVDに残っているが、それを見れば誰もが納得するはず。このパフォーマンスには「誰も追いつけない」、と。
ただ、それは必ずしも万人に評価されるものでは無いかもしれないという懸念もあった。そして、それは本人サイドでも感じていた事だったのかも知れない。そして、野中藍は一度「変節」する。
次のライブツアー「NO TEAR×NO LIVE 2008」は「良いライプ」だった。しかし、ただそれだけ。野中藍は、自身の歌に対する能力の無さを常々口にするが、それを如何に修正しようかと努力して生まれたライブだったのだろう。それはそれで素晴らしいが、私にとって、それはあまり魅力的には思えなかった。なぜなら、野中藍らしさが感じられないから。ただ上手い音楽を聴きたいのでは無く、「野中藍の歌」を聞きたいから。なので、その後の野中藍の活動については、少し残念に思い続けていた。
今回のライブ、ぶっちゃけあきらめが大半だった。ただ、少し前のインタビューでは、「振り切れた」様な事が書いてあったので、どこかでほんの少しだけ期待もしていた。
そして、野中藍は、その期待に応えてくれた。
ステージをプロレスのリングに模して、ライブの進行もレフリーが進めるという感じ。ライブコンサートでもライブパフォーマンス寄りの演出を入れたのは、あいぽんショーの名残か。その中で、野中藍は、それこそ自由に、のびのびと歌う。踊る、跳ねる!
その自由さは、もう完全に「音程」さえも超越する。野中藍の声は非常に優れた魅力的な声だが、その魅力的な声すらも逸脱する。そこには、野中藍が自身のパフォーマンスとして最大限のものだけ。ややもすれば観客が全員置いていかれてしまうくらいのパフォーマンスだが、それにファンが必死に食い下がる事によって、会場内は異様な熱気がかもし出される。
今回のあいぽんの一言。「音程を外してしまう『かも』しれないと不安」。会場全体に「?」マークが溢れる。
外す以前の問題だー!w。徹頭徹尾音程合ってないと思える歌もあったぞ!・・・とか言うのは無粋の極みだ。常人には分からなくても野中藍の中で成立していれば良いのだ。その歪みがこちらにとって心地よければ良いではないか。それがオンリーワンのものであれば、その価値は絶大。それはいわゆる芸術だ。
そんな、凄いパフォーマンスを見せてもらって大興奮。これぞ野中藍と思えるライブだった。
あー、楽しかった。

野中藍 BEST ALBUM アイレンジャー(初回限定盤)(DVD付)

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