カンノヨーコ produce マクロスF 超時空スーパーライブ Merry Christmas without You 日本武道館

年末の一番忙しい時期の平日という凶悪な日にやってくれたのだが、なんとか潜り込めた。色んな代償を払ったのだけれども、やはり参加して良かった。
私のアニメ系のイベントに参加する理由は、そのアニメの空気をより密度濃く体感したいが為。OPやEDを生で聞きたいし、声優さんの生アフレコも良いし、どんな人が作っているのか知るのも良い。ライブであれば、ただ単に歌を歌ってくれるだけではなくて、映像を流してくれたり、声優であればキャラのセリフ一つでも言ってくれたりすれば最高に嬉しい。
そんな私にとって、このライブは正に究極系とも言えるライブだった。アニメの映像を流し、雰囲気を盛り上げる。新録のアナウンスで世界観を作ってくれる。これらは、前回のマクロスライブでもやってくれていて、その演出がとても嬉しかった。しかし、今回はそれの更に先を行く。
演出は更に密度濃く、一つの物語が出来ていた。そして、それら物語を作るために登場したのが、声優たち。元々の出演者である中島愛に加え、中村悠一遠藤綾豊口めぐみがキャラとして登場し、ドラマを作っていく。
時はクリスマス。10年後の自分に対してメッセージを送ろうとする面々。それは、あの悲劇、ミシェルが居なくなるよりも少し前か。明るい雰囲気の中に、どこか未来の悲しみを予感させるエピソードが、クリスマスソングとともに綴られていく。 それは、悲劇が起こってしまった後から見た、在りし日の回想だからなのだろう。永遠に続くと思っていた楽園が消えてしまった悲しみ。そんな想いが歌で表現されている。
なんだか、胸が一杯になる。これは楽園の終焉を意味するライブだった。つまり楽園としてのマクロスFも、おそらく映画後編と共に活動を休止するはずだ。正にコンテンツとしても終焉の時。そんな現実と、作品内の楽園の終焉のエピソードが重なり合わさる。そして、時はクリスマスだ。その楽しくも何処か物悲しい雰囲気が、正にドラマを「そのもの」として盛り上げていく。
・・・菅野よう子は天才か。
今更いうべき事でも無いが、それでもやはり唖然とせざるを得ない。この演出力、これがあるからこそ、あのような超絶センスな楽曲も生まれるのだろう。物語の空気の密度と、ライブの楽曲の密度が濃厚に交じり合い、正にマクロスの世界に連れて行かれた。
また、このクリスマスという演出は、一つの奇跡を生み出す場でもある。全ての演出が一つの点に向かって集約し、そして最後には、そこに本当の「奇跡」が生まれる。そこにいた観客は、その奇跡に立ち会うことが出来るのだ。なんとも憎い演出といえるだろう。
マクロスFというコンテンツとしては、おそらくこれが最後の大舞台だという。まあ、それは仕方の無い事だろう。ただ、菅野よう子という存在が腕を振るう事の出来る大きな場がなくなってしまうのは、やはり残念でもある。音楽が演出にふんだんに使われて、世間一般客も巻き込むほどの人気を取るような、菅野よう子が絡む作品がまた生まれて欲しいものだ。

マクロスF cosmic cuune

マクロスF cosmic cuune