2010年オタクの動向

毎年、年の初めには前年の総括的な事を書いていたのを思い出した。何か書きたいと思ったのだけれども、上手くまとめられる題材が思い浮かばないので、今回はオタク全般について徒然と書いてみたい。
昨年も、オタク関係のイベントとかに結構参加してしまった。そこで強く感じた事が、オタク世界の雰囲気が大きく変わりつつあるということ。

結局、今「オタク」と言われている活動は、1990年代のエヴァブームからの影響が一番大きい。それがそのまま衰退すればそれまでだったが、その流れがそのままハルヒ・アキバブームに繋がり、ずっと続いている。もちろん、エヴァ以前にもヤマト・ガンダムなどからオタクは生まれていたが、それは一時の暗黒時代によって一旦停滞していた。しかし、今のエヴァハルヒの流れでは未だ暗黒時代的なものは到来せず、世間でもそれに規制をかけるなどという動きがあるくらいに、活発に活動が続いている。おそらく、他の産業が衰退している流れの中で、オタク産業は押し上げられる形で波に乗れてしまったのだろう。

  • オタクの世代交代

ただ、オタク文化は基本的には青少年文化である。それを少しずつ年代を引き上げる努力は続けられてきているが、それでも基準は子供が楽むところから始まっている。年を取ればオタクから卒業するものは多い。つまり、1990年代から続いているオタク文化を支えてきたオタク達は、年齢によって少しずつ入れ替わってきているはずなのだ。
オタク文化には「オタク学会」みたいな権威ある集団が存在しない。オタク活動は純粋な消費行為であり、消費傾向が変わればどんどんと姿が変わっていく。つまり、消費をする者が替われば、当然、その傾向なども大きく変わってくると思われる。
中には、1990年代にオタクになってオタク文化に参加し続け、オタクのオピニオンリーダー的な存在となってきた古強者も居ただろう。しかし、そんな者達も既にアラフォーになっているはずだ。そんな者達がここにきてかなり数を減らしてきていると思える。彼らが何かを残しているかと言えば、ただそこから声も無く去っていくだけだ。

  • オタクが「薄くなる」

イベントにおいて感じるのは、以前に比べ、熱の少なさ、協力感の希薄さ、傍観する気配だ。さらに言うと、消費意欲の低さも挙げられる。
今、アニメ系イベント=声優系イベントが多々行われているのは、1990年代にアイドル文化が一時衰退し、そのファンが声優文化に流れたという当時の状況が、今もつづいているからと思われる。アイドル文化は、より大きな枠の中で非常に密度の濃い文化的熟成をしてきており、その力を借りたのが声優アイドル文化だったといえる。しかし、その歴史はオタクのオピニオンリーダーの減少によって途切れつつあり、さらには、アイドル文化もAKBなどで息を吹き返した事により、本家からのエネルギー流出も途切れつつある。その結果、上に挙げたようなイベントの雰囲気になっていく。このような雰囲気は、おそらく1980年代のオタクイベントの雰囲気なのでは無いだろうか。

  • オタクの未来は…

今の若者のライフスタイルは、「スマート」というキーワードが主流だという。消費礼賛ではなく、いかに出費を抑えるか。経済的動向が不安定な今のこの国の状況では、当然ともいえる姿だろう。
しかし、それは消費行為であるオタク文化にとって、非常な痛手だろう。無理をしてでも購入をするオタクの古強者は居なくなり、現在の主軸を務める若手のオタク達は必要最低限のものしか買わない。そして、物が売れなくなれば、文化を維持できなくなる。つまりは暗黒時代の再来だ。
そんな大きな流れが、「文化の雰囲気」として肌で感じられるようになってきた。2010年はそんな年だったように思う。