劇場版 ハヤテのごとく!HEAVEN IS A PLACE ON EARTH

そういえば、こちらの感想を書いていなかった。この映画は良い出来だよね。
まあ、ありふれた話ではある。映画のモチーフとして「遊園地」を出すのは非常にオーソドックス。
かなり昔「アニメを映画にするのは難しい」とかいう事が議論された事がある。(確か押井守の界隈で)今みたいにアニメの映画が結構作られた時代。結局、観客は映画に「非日常」を期待してくるのだが、非日常が常のTVアニメでは、その延長線上としてのフィルムは映画になり得ない、という主旨だった。
何か、映画としての「型」が必要。その典型的なものとして「遊園地」は最適だろう。日常の中の非日常である事を認識させる典型的な「シンボル」だからだ。古今東西、「第三の男」からこっち、いやそれ以前から映画に遊園地が使われた例は枚挙に暇が無いほどだろう。特に、日常を描く事がメインのアニメの映画化では、ほぼ筆頭に上げても良い題材というわけだ。
この映画の良い所は、そうしたとてもオーソドックスな題材を持ってきたことによって、作品中最も重要な「日常を描く」という事が、とても丁寧に出来ているという事だろう。最初のいつもどおりの描写である秋葉原からの導入と、それが少しずれた田舎での、それでもいつもどおりのキャラ達の反応、そしてそれが更にずれていき、超常的なことが起き始めたときのキャラ達の反応と、非常に丁寧に描かれている。こういった他愛も無い事がしっかり描かれているからこそ、誰が見ても「何処か嬉しい」気分にさせられるのだろう。
ついでに言うと、キャラデザも、TV版よりも原作に近づいていて、個人的にはこちらの方が好み。この辺りにも、アニメ制作者の原作に対する気持ちが透けて見えてきて、嬉しくなってしまう。
とても良い映画だった。