ネギま世界の時間の流れ 蛇足「人造世界における魔法相対性理論」

上記で「なぜ二つの世界の時間の差が生じるように設定されているのか不明」と言ったが、この事について一つ推測がある。
時間の流れは加速する事によって、または重力が高くなる事によって遅くなる。それはどういう事かと言うと、存在の密度が時間の流れを決めているということ。高加速、高重力下で物質の密度が濃くなることで、時間は遅く流れる。当然、これは逆の事も言える。物質の密度が薄ければ、時間は速く流れる。
そこで、魔法世界について考えてみる。魔法世界は、魔法によって作られた仮想存在だ。物体やそこに住む住人も、現実世界人と触れることが出来るように実体はあるようだが、その存在は魔法が解けると花びらのように消えてしまう。いわば「存在の薄い」世界といってよいだろう。
つまり、魔法世界は、魔法で作られた存在なので、存在の密度がどうしても薄くなる。なので、魔法世界の時間の流れが速いのは、その存在の薄さの為に相対性理論的にどうしても起こりうる、不可避の現象なのでは無いだろうか。
また、この現象は、逆に利点としても使われているかもしれない。つまり、その中に入れば長い時間を得ることが出来る「ダイオラマ球」のことだ。これは、どうやら精密なミニチュアのジオラマを作り、それを触媒として人造世界を作っているようだ。ジオラマを普通の大きさのように感じるということは、そのジオラマの世界は、相対的に存在が薄いと考えてよいだろう。つまり、魔法による仮想世界として薄く、ミニチュアとしても薄いのだ。そうやってより精密なミニチュア人造世界を作れば作るほど、人造世界の性質的に、その中に入れば時間の流れを早く感じる事が出来る。そのような時間を長く過ごせるというメリットが生じるので、ダイオラマ球という技術が生まれたのでは無いだろうか。
そう考えていくと、人造世界に現実世界人が入る事自体がかなり不思議に思えるが、それこそが人造世界魔法の肝ともいえるもので、実体をその人造世界に適合させる事によって同じ時間の流れを感じさせているのだろう。
また、こう考えていくと、何故魔法世界が火星にあるのかという事にも、一つの理由が生まれる。というか、何故魔法世界をダイオラマ球で作らなかったのか、という意味だが。
大きさを実体に近づけなければ、より時間の流れが速くなってしまう。魔法世界を作った者達は、そこに大規模な移民をしようと考えたとして、故郷である現実世界から完全に離れたいと思っただろうか。やはり、出来る限り同じ時を過ごしたいと考えるだろう。だからこそ、大きな触媒が必要であり、それで火星を選んだと考えられる。
何にしても、魔法世界で過ごすという事は、現実世界とは別の時を過ごすという事であり、その期間を長く過ごす事は、現実から遠ざかる事と同義。それは便利である分、少し寂しい事なのかもしれない。魔法世界を長く体験して「しまった」クラスメイト達と居残り組との差を感じる時、そんな事を考えてしまったりする。