アイマスのライブ映像鑑賞

今、一番盛り上がっているのは、アイマスだったりする。アニメは最高に素晴らしかった。
けれども、あのすばらしさは完成されすぎた素晴らしさでもあった。その完成度の高さが、逆に物足りなさを感じさせるくらい。なんというか、もっと理性を越えた「爆発」のようなものが欲しかったとも思う。
アイマスは、完成されていないアイドルが、より高みを目指してステップアップしていく物語だ。アイドルを目指す者は(プロデューサーも)星の数ほどいて、その中で栄光を掴むのは一握りの限られた「奇跡」を起した存在のみ。そんな奇跡は、完成されたストーリーの中には収まらない。
そういう意味では、矛盾するようだが、アニマスはそれ単体では完成していない作品と言えるのかもしれない。完成しているからこそ、アイマスとして完成していない。脚本の埒外にある現象などで補完しないと、その本当の魅力は味わい尽くしたことにならないかもしれない。

そんな事を考えながら、アイマスのライブBDを見る。そう、中の人達のライブは、正に脚本の埒外にあるものだ。実際、アイマスが人気を集めた要因のひとつは、この中の人達の頑張りによるものだろう。その成果とも言えるライブ映像は、アイマスの魅力と成果の一角だ。
アイマスライブ映像は沢山あるが、その中で現在の最高潮といえば、やはり「5th ANNIVERSARY The world is all one !!」だろう。765プロが全てそろっているのは、おそらくセカンドライブ以来、SP組を加えてでは、今のところ唯一の完全なるアイマスライブと言える。途中で雪穂も加わったしね。
そんな彼女達が、それこそ歌いまくり、踊りまくり、ただそれだけでステージを作り上げている。正に直球勝負の、キャスト渾身のライブだったといえるだろう。
このライブで貴重なのは、やはりくぎゅ。彼女の歌っている姿がみられるのも非常に貴重だけれども、なにより彼女がとても可愛い。イベントで可愛いくぎゅをみられるのはなかなか無いw。
それと、やはりあずみん初登場の巻き。やはり今となっては、アイマスがチームとしてまとまるには、この交代劇はどうしても必要だったと言える。新生アイマスチームが誕生し、新たに中の人活動が活発になる記念すべきシーンと言えるだろう。
後、個人的にはあずささんの「隣に…」をここで始めて聞いたので、その印象が凄く残っている。この歌は、アイマス最大のドラマだと思う。

そんな、見所満載のライブなのだけれども、アニマスのエピソードと相まって、一人のキャラクターを重点として見ていた。それは律子。全てにおいて素晴らしいアニマスにして、一つのエピソードとして最も完成度が高かったのは律子回だったろう。
アイドルとしてあまり目が出なかった律子が、自身のプロデュースする、既にビッグになっている竜宮小町のあずさの代役を務める。観客の竜宮小町ファンは当然彼女のファンではなく、久しぶりの舞台で竦みながら歌う律子を励ますのは、駆けつけた昔ながらの律子ファン達の小さな緑のペンライト。その緑の光の輪と、律子の心の勇気が互いに広がって、ステージも成功するという話。
このエピソードは、ある意味、中の人の実態と「全く逆」なのが、なんとも感動をそそる。
アニメの律子は、ファンの応援に支えられてアイドルに戻ってこられた。しかし、実際の律子の声優、若林直美は、これとは逆に、誰よりも自分からファンを鼓舞するような存在だった。
まだ、アイマスのイベントが数えるほどしかない時、彼女は自主イベントでアイマスソングを歌ってくれた。それも、ゲームのキャラクターそのままの眼鏡と髪型で、そのままの振り付けをつけて。それは、まるでゲームからキャラクターが飛び出してきた錯覚をファン達に与えるほどの衝撃をもっていて、いつしか彼女には一つの異名がついた。いわく「アイマス神」と。
また、小さなステージではまず彼女が最初に登場して場を盛り上げることが多い。その盛り上げ方はといえば、それこそステージをはみ出すくらいの勢いで、その後に続くキャストのために存分に暖めてくれる。昨年秋のゲームショウでも、彼女一人の力で会場が混雑で麻痺するくらいの盛り上げをしていた。
5thライブでも、彼女は全く自由に動いている。それが元から定められた演出なのか疑わしいほどに。カメラすら彼女を追いきれないほどに。それは正に、アイマス神の活躍だ。アイマスの黎明期から、キャストライブの魅力を率先して伝えてきた彼女ならではのもの。そう考えると、彼女ほどアイマスのプロデュースに貢献し、プロデューサーに遇されるのが適任なキャラは居ない。
そんな律子が、アニメではファンと他のアイドル達から力を貰ってアイドルとしてステージに立つ。その描写は、律子の中の人若林直美が、アイマスとファンに対して力を与えてきてくれたことの、正に合わせ鏡のような描写といえるだろう。
もちろん、若林の活動と律子のキャラは別に動いているので、この関係性は全くの偶然だろう。しかし、アニメの律子を見て、そしてライブ映像のアイマス神の頑張りを見るにつけ、その偶然が、実際には必然的に生まれたのだと、確信せずにはいられなかった。
やはり、アイマスはいいなあ。アニメの成功で、また先が拓けたと思うし、これからも是非楽しいコンテンツを作っていって欲しいものだ。