ネギま世界の時間特性について

これって、もう総決算的に考察して良いのかな? あと2回でどんでん返しとか無い?
まあ、いいや。一応これ以上設定が追加されないという事で、改めて考えてみる。
ネギま世界の時間特性について。前にもかなり考察したけれども、修正版という事で。

  • 歴史改変出来ない時間移動

まず、麻帆良祭の時、最初にネギが超の機械を使って移動した場合。
この時の時間移動は、「歴史改変を伴わない」ものだった。つまり、ネギは過去に戻るのだけれども、それは「戻る事が決まっている」過去にしか戻れなかった。というのも、時間遡行をする前から、時間遡行をしてそこにいる自分にあっている。亜子の時とか。ある意味、タイムマシンによって歴史の書き換えがあったといえるのかもしれないけれども、その結果は、タイムマシンを使った時点で決まっているので、タイムマシンによる歴史改変は不可能という事になる。これは、時間の流れが一つであり、タイムマシンの作用もその一つの流れの形を変えるだけ、というかタイムマシンの存在もその作動も既にある歴史の一つという認識しか出来ないものと言える。

  • 時間軸の分岐

ところが、ネギが超の罠にかかって、麻帆良祭最終日を飛び越えた事により、今までとは違う状態が現れる。「歴史改変できる」、もしくは「二つの歴史を認識し続ける事ができる」状態が生まれる。つまり、超によって「魔法が認識された世界」と、その後のネギの活躍によって「魔法が秘密のままの世界」に歴史が分岐していると思われる。これは、一体どういう事なのか。
その鍵は、どうやら超というよりも、ハカセが唱えていた魔法にあったらしい。
超が、上記「歴史改変を伴わない」ことしか出来ないタイムマシンでこの世界に来ているのであれば、この世界に来た時から既に「自分の失敗を知っている」はずだ。不幸な未来を知る自分がここにいること自体、それはその未来の決定を意味するのだから。では、超の本当の目的は何かというと、歴史を分岐させる事。その儀式をハカセにやらせていたと思われる。つまり、ネギ達が迷い込んだ「魔法が認識された世界」は、超とハカセによって分岐させられた、超の未来とは別の未来への歴史だったという事になる。しかし、ネギはそこから元の「魔法が秘密のままの世界」、つまり、超の未来へと続く歴史軸に戻ったのでは無いかと思われていた。

  • 並行世界の存在

しかし、実際にはそうではなかったという事が、今回判った。実際の所、あの超の儀式だけで、歴史が分岐、つまりもう一つの世界が出来るというのは、あまりに馬鹿げた話だ。歴史に分岐があるというよりも、その分岐していると認識した世界は、元々無限にあった並行世界では無いかという認識が当然生まれる。人の些細な技術によって世界が一つ生まれるという荒唐無稽な設定より、元々世界自体が無限にあり、人の技術はそこを行き来できるようになっただけという方が、より納得のいく思考だろう。
この並行世界には、上位世界不可侵の法則があるだろう。つまり、既にある世界の歴史は絶対に変えられない。過去に戻ったつもりでも、それは全く新しい並行世界の過去(と主観では思える現在)の時間軸でしかない。しかし、その並行世界の移動によって、自分の望んだ歴史を新たに作り出す事は可能。結局、並行世界があるという事で、逆説的に「自分の本来の世界」は、たとえ過去に戻ろうとしても戻れず、変える事ができないという事になるのだろう。

  • 時間のループとは?

因みに、「戻ってきた未来の自分に会った記憶を持つ自分」という、時間のループが発生することについては、謎としか言えないだろう。
並行世界に「上位世界不可侵の法則」という、時間の流れと同様の「流れ」みたいなものがあるならば、時間遡行と同様の空間遡行的な意味でループが生まれるのかもしれない。
今認識されているこの世界は、時間の流れを含めて「4次元世界」とされているが、並行世界があるとすれば、それは「5次元世界」いえるだろう。しかし、ネギま世界では更に、この時間のループの存在も確認されているので、並行世界を俯瞰できる次元の介入が行われていると思われる。
つまり、ネギま世界の時間特性は、「5次元世界」の上、「6次元世界」であると思われる。
ただ、もしその「6次元」的な介入が自在に出来るのであれば、超もあんなに必死にならなかったであろうし、おそらくこれは未だに人知の及ばない次元なのかもしれない。

  • 渡界機について

これらの事を踏まえて、ネギまに起こった、特に353時間目で解説された時間移動について考えてみる。
まず、超は麻帆良祭の後未来に帰ったが、これについて若干不明な点がある。というのも、麻帆良最後の世界は、実は超の未来に続く歴史では無いとされているから。もしそのまま未来へ向かったのだとすると、もしかしたらそれは明日菜が眠りから覚めた世界だったのではないだろうか。
しかし、少なくとも一度は、超は自分の元の世界(未来)に戻ってそこから来たような口ぶりだった。つまり、それは麻帆良祭のときハカセが行った儀式の技術により、「渡界」して自分の元の世界(未来)に戻ったと思われる。
この辺りを少し厳密に考えると、超の科学技術の進歩は、麻帆良の「魔力」の存在によってなされていたと思える。となると、超が麻帆良祭からすぐに自身の世界にもどっても、魔力が(科学で無理矢理生み出さないと)無い世界なので、新たな開発などは難しかったのではないかと思える。
しかし、明日菜の起きた世界、つまり、ネギの活躍によって「改変された」世界は、魔法が普通にある世界だった。超は、そんな未来に「戻った」からこそ、そこでエヴァの協力も得て大規模儀式によらない「渡界機」を開発でき、並行世界を自在に移動できる、正に「上位の存在」になったのだと思える。

  • 大団円世界

後の流れはカンタンだろう。おそらく、そのような上位の存在になってしまうと、「歴史の改変」自体に意味が無くなる。超は、もしかしたら自身の世界に戻って「自分の世界の未来」を変えたかもしれない。しかし、そこでそれ以外、つまり過去を変える事はできない。いや、過去については既に変わっている歴史も見ているのだから、願いは成就しているともいえるのだ。
並行世界の住人になったという事は、「出来ない事は絶対出来ないが、同時に、出来る事として全て出来る」という、「矛盾した万能の存在」とでも言えばよいだろうか。超は、明日菜とネギの行く末についても、ある意味、神の目で介入しているのだろう。
そして、目覚めた明日菜をつれて、明日菜が「現在に戻らない」世界ではなく、戻る世界に「渡界」して、明日菜の不在という不幸を取り除いた大団円世界を作ったというわけだ。
しかし、実は明日菜とネギは不老不死になったままではないかという問題もあるわけで、ここは完全に不幸が取り除かれた大団円世界という訳では無いだろう。その問題については、この後の2話で語られるのだろうか。もしかしたら、その過程でさらなる時間特性の解明もあるかもしれないので、最後まで見届ける必要があるだろう。