大地丙太郎スタイル11・メイキングオブポヨ 阿佐ヶ谷ロフト

この大地監督のイベントは、以前から気になってはいたのだけれども、なかなか参加出来ずに居た。今回は、なんと神谷明という大物ゲストを迎えた上、現在放映中のギャグアニメを題材にするとのことで、二つの意味で価値のあるイベントと思い、万難を排して参加した。いや、時間を作るの厳しかったよ(^^;。
で、参加してみて大正解。神谷明を迎えたということで、言ってみれば大地監督アニメ学校 声優特別講座的な感じで、神谷講師の非常に興味深い話を沢山聞くことが出来た。
実際に、このボヨという作品においても、監督はあえて神谷明大谷育江というベテランと新人を併せてキャスティングし、若手の学びの場とすることを考えていたという。神谷明も監督と気心の知れた間柄で意図を理解し、また、昔ながらの「在るべき」環境とのことで、監督に感謝するくらいだとか。
神谷講師の話の中で特に凄みがあったのが、「アニメ声優」に対する危機感。力が入りすぎて自然な演技が出来なくなってしまい、だからこそジブリなどでは型にはまらない声優ではないタレントが起用される、とか。また、下積みを充分する前に有能な新人が第一線に起用されるので、逆に潰される危険性も高いなど。
これは声優のアイドル化にも絡んでいる事だと思うのだけれども、私のような主にアイドル声優を追いかけている者にとっては、かなり耳の痛い話だ。やはり、声優の世界にも技術の継承があるべきだし、少しずつ実力を付けていって、遅咲きで魅力的な声優になる存在も沢山居るはず。けれども、キャスティングを若手アイドル声優だけで固めた華やかな作品も、やはり魅力を感じてしまうし、そこに実力はそこそこで声質が魅力的な新人アイドル声優が居たとしても、無条件で「良い」と思ってしまうだろう。それが、ある意味「使い捨てのアイドル市場」だとしても、その一瞬を作りえたことを評価してしまうはず。
結局、アニメの種類もアニメ制作の現場にも、多様なものがあるべきということなのだろう。深夜枠で萌えアニメが沢山制作されて、新人がアイドル声優として「そこだけで」起用され続けるという状態とかがあると、いろいろと歪みが生じるのかもしれない。
他にも、大地監督もサービス満点で、ポヨの演出の過程を事細かく説明してくれたり、自身の作る動画コンテのセリフ入れの現場をわざわざ撮影してきてくれて、公開してくれたり。はっきり言って、滅茶苦茶まぬけなシーンで笑える動画だったのだけれども、監督が画像のテンポなどでこだわっている部分が垣間見えたりして、実に興味深いものだった。
会場には、原作者や制作スタッフが揃っていたり、声優も神谷明のほかにも三森すずことか沢山来ていた。みもりん、神谷明に「第二の三石を思わせ、さらに演技が自然で素晴らしい」とかベタ褒めされていたりw。
「スタッフ全員がとても仲が良く、良い環境で作れているのが一番の自慢」という監督の言葉どおりイベントも良い雰囲気で、内容も充実していたし、実に有意義なイベントだった。
イベントの最後は、監督のウクレレとみもりんの生歌で締め括られた。