マリコレ〜MARINE COLLECTION 2012〜 神奈川県民大ホール

一つ確認しておくと、これは一種のラジオの公開収録的なものと考えて良い? だって、実質やっている事は、ラジオ番組同士のコラボがメインなわけだし、それって、普段やっているラジオの延長線と考えてよいはず。舞台上になぜか放送作家が居たりして、そのゆるさからも、まあ放送されない公開収録の特別編と言えばよいだろう。
・・・やはり厳しいよね。これがこの値段設定で、観客が納得しているという状況が。いや、本当に納得しているかは知らないけれども。
ステージに上がっているのは、誰もが売れっ子声優だし、時間も無いだろうし、そんな人気声優が一同に会していて、こうやって生でその姿を見たり、声を聞いたりするのは、アニメファン・声優ファンにとって確かに嬉しい。その価値と需要は充分に分る。
しかし、声優ってやはり演技として声を張ることに仕事の本旨がある訳で、ラジオはやはり無料で放送して様々な宣伝に使うものだと思う。もちろん、そのトークのみにもある程度価値があるし、ラジオCDとかもそれなりに売れているのだろう。けれども、アイドル声優だからラジオ声にも値段を付ける価値がある、課金するという体制は、なんだか首を傾げざるを得ない。
なぜ、こんな辛気臭い事を言っているのかというと、内容を伴わずに金にがめつくなった業界はその後絶対に廃れる、という当たり前の現実が見えているから。
確かに、アイドル声優は魅力的だし、彼女達に会う機会は、どんなにお金を出しても作りたいというファン心理はあるだろう。しかし、だからといって一部の企業が、そのファン心理につけこんでガメツイ商いをやって成功させてしまうと、他の企業もそれを見習って「やらざるを得ない」。そこに、アイドル声優の価値のインフレーションが起きてしまう。
こういうものは需要と供給だ、という話もあるだろうけれども、このような人気商売は、イメージが命。お高くとまった存在というイメージが付いた後には、それを戻す事が出来なくなることが多い。後戻りの出来ない、いわば「使い捨て」興行をやっているとしか思えないのだ。
そういえば、確かマリンエンタメって、アニメイト関連だよね。どうして利益還元的な発想にならないかなあ。声優は、まず作品の上で魅力を放っているというのに、これでは自分の足場を切り売りしているようなものだ。
今回、前回のマリコレには出ていなかった井口裕香とか井上麻里奈とかが出ていた。彼女達も充分若いけれども、しかしそのキャリアは長く、イベントにおけるスキルはかなりのものだ。特にゆかちのトーク力は、これほど凄いと思っていなかったほどに今回再認識させられたのだけれども、彼女達のトークによって、イベント全体が上手く回っていた。トークだけでも充分価値がある彼女達がイベントを救っていたとも言える。
けれども、実際には、単にアイドル声優のラジオ公開収録(風)に高額を出させるという企画には違いないわけで、その事には危惧を感じざるを得ない。
もう少し回りを見渡して、ファンにとっても、声優にとっても、業界にとってもWINWINとなるイベントにして欲しいものだ。