寿美菜子 First Live Tour 2012“Our stride” 大宮ソニックシティ 大ホール

ツアー二度目の参加にして、ツアーの千秋楽。
おそらくは、ソロでは最大のステージだろうけれども、思いっ切り声を出していて、美菜子自身とても楽しそうだったのが印象的。そのパフォーマンスのすばらしさは、この大ホールでまだ全然余裕があり、それはつまり、もっと上を目指して欲しいという思いを強く感じさせるほどのものだった。
・・・ということで、彼女のパフォーマンスについて、おそらくまだ隠れている潜在的能力も含めて大絶賛だし、こちらも充分楽しませてもらったのだけれども、今回は少し辛口の事を書いておこう。
それは、前回のライブの感想でも書いた、彼女の性格について。彼女の性格が淡白であること、それがどうしても引っかかっている。
例えば、今回のツアーで披露していたピアノの弾き語りについて。まあ、今回少しミスがあったけれども、それは全然問題ではない。少し残念なのが、彼女が弾き語りを「こなしている」こと。折角の弾き語りなのだから、自身のテンポで、どんな表現も付けられるはずなのに、ただこなしているように感じる演奏だった。
彼女は、センスが良くて、能力も高くて、高水準の歌を歌えるけれども、その水準を維持する為に、少し「こなす」方向にいく事がある。それって彼女の本質的な性格のようで、彼女のトークが「寿ホール」とか言われることがあるのも、トークを「こなす」事があるからだと思う。
歌も声優も、「表現」こそを最優先すべき「表現者」であるはずだ。技術が無くても表現する方法はある。逆に、技術があっても表現がなければ、何も無いも同じ。もしかしたら、彼女はそういった最も大切な事が抜け落ちているかもしれないという不安感を、ごくたまに感じたりするのだ。これは、彼女に高い能力があるからこそ生まれてくる指摘とも言えるだろう。彼女の歌と、より深く心を通わせたいと思うが故の苦言だ。
あと、このような想いと連動して、一つの事件も引っかかってしまった。観客からのダブアンに応じてくれなかった事。
ツアーの千秋楽に大体許されるであろうダブアンが、観客からの熱いコールがありながら、結局無かった。これはファンに禍根を残すだろう。もう二度とファンからダブアンは起きないだろうから。それは、その姿勢が悪い事では無いけれども、ファンから一歩引かれた事を意味する訳で、とても残念。アンコールが何のためにあるのかという本質を分っていない運営の責任だよね。
ツアー自体は成功だけれども、少しほろ苦い幕切れと言えるかもしれない。

overture~寿美菜子×関西ゼロ年代映画作家 [DVD]

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