天津向の4コマトーク vol.15 阿佐ヶ谷ロフト

私的には「登風」でおなじみ、オタク芸人天津向がやっているという4コマ漫画、萌えよんを題材にしたトークイベント。もちろん、この日の目的は「琴浦さん」の原作者えのきづが出演するということで。
いや、緩いイベントだろうとは思っていたけれども、想像以上に緩くて笑った。延々、最近の4コマの良いところを紹介するとか、素人作画の持ち込みの話とか。いや、良いけどね。好きだからこそやっているという気持ちが伝わってきて、それだけで楽しい。けれども、その「好き」を、芸人としての「芸」まで昇華するなにかが、もう一つ欲しい処ではある。そうでなければ、より業界的な興味深い話に突っ込んでもらうとか。
いや、えのきづ先生には色々聞きたいことがあったのだけれども、先生のトークは結局全体で1時間程度しか無かったので、紹介程度でしかなかったのが、残念。その中で、どうして四コマ漫画家になったのかとかが語られていたので、その人となりは大体つかめたから、それだけでも興味深かったけれども。
あと、実は一つどうしても聞きたかったことがあった。それは、筒井康隆の「七瀬三部作」を参考にしているか?ということ。これについては、会場からの質問コーナーで、別の人が質問してくれて、助かった。もしあれがなければ自分で聞くしかなかったw。
この質問については、SFは好きで読むけれども、「七瀬」は読んだことはない。同じ女の子のテレパスの話だとは知っているけれども、読むと影響を受けてしまいそうなので、あえて読んでいない。とのこと。
この答えには、大いに納得。まずあの傑作を読んでいて、それに影響を受けずにこんな作品を作ることは不可能だろう。
実は、「琴浦さん」には、七瀬シリーズを読んで個人的に引っかかっていたことがクリアされているところがあり、そんなところが気に入っていたりする。簡単にいうと、七瀬三部作は天才の目から見た社会の息苦しさが描かれているけれども、実際の人の世は、琴浦さんの世界のように、もっと緩くて、不条理に満ちているかもしれない、という感じ。そんな、もう一人のあるべき七瀬として琴浦さんを見ていると、なんだかとても嬉しい作品な訳だ。
引っかかりも解けたし、これからより作品を楽しめるであろうと思うと貴重な体験だった。ついでに直筆サイン絵ハガキとかも手に入れることが出来るし、なかなか良いイベントだった。

二十枚限定だったらしい直筆サインハガキ。

TVアニメーション「琴浦さん」その1【特装版】 [Blu-ray]

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