ミュージカル的アニメイベントを思い返す

俺の妹がこんなに可愛いわけがない。フェスティバル」の出来があまりに独創的かつ素晴らしすぎてその良さを色々反芻している。過去のアニメイベントに比べてどの程度良いものだったのかとか。となると過去の名アニメイベントも思い出さざるを得ないのだけれども、その回想もやはり至福。

  • 声優によるミュージカル「サクラ大戦歌謡ショウ」シリーズ

まず、究極のアニメイベントを挙げるとすれば、これ。声優自身がキャラに成り切り舞台も作り、ミュージカルをしてしまう。これは最初から歌って踊れる声優を舞台することも込みで確保する必要があり、その上でこの企画が成り立つほど成功したコンテンツである必要もある。作品そのものも歌に関係した内容であることが望ましいだろう。これら全て上手くいった例を他に挙げるのは非常に難しくほぼオンリーワン的なイベントと言える。
因みに「アニメを題材にしたミュージカル」というカテゴリーだけで言えば、舞台俳優を使ったものや宝塚もあるのだが、それらは個人的にマンガのドラマ化みたいなものと認識している。きっと楽しいだろうけれども、「アニメを補完する」以外の要素を含んでいるように思うので、アニメイベントの対象としていないし積極的に参加もしていない。

サクラ大戦 武道館ライブ2?帝都・巴里・紐育?【完全受注生産限定版】 [Blu-ray]

サクラ大戦 武道館ライブ2?帝都・巴里・紐育?【完全受注生産限定版】 [Blu-ray]

  • 音楽と朗読によるライブ「マクロスF 超時空スーパーライブMerry Christmas without You」

マクロスF」は、元々二人の歌姫が重要なキャラとして存在し、その一人ランカの声優中島愛が歌も務める。これはヒロイン声優が歌うという初代マクロスのコンセプトを強化したものであり、その体制を上手く広げてこれ以外にも様々なライブイベントを開催してきた。
そのライブを進化させ、歌姫のライブの途中に出演声優の朗読劇を加えて物語の有るステージに仕上げたのがこれ。作曲者菅野よう子がイベントの為に曲を作り、自ら物語も演出するなど、彼女の才気が作り上げたと言える。
物語は後日談的なもので人間関係が主に描かれていた。とても音楽的に完成されたイベントではあるものの、物語世界の一部で音楽的に再編成しやすい部分を抜き取り強調された内容ともいえる。

マクロスF 超時空スーパーライブ cosmic nyaan(コズミック娘) [Blu-ray]

マクロスF 超時空スーパーライブ cosmic nyaan(コズミック娘) [Blu-ray]

これも非常に斬新なイベントだったと言える。元々ある主題歌やキャラソンを声優たちが歌い、その間に朗読劇を織り込む。その物語と歌がある程度連動しているのでミュージカル的になる。実は、今回見てきた「俺妹フェス」とほぼ同様の構成とも言える。
しかし、このイベントには二つの欠点がある。一つは、曲と曲を強引につなげてオリジナルの物語にしたため、物語そのものに意味が無かったこと。その世界観がネギまそのものではなく「!?」の世界であったのも個人的には残念だった。もう一つの欠点は時間が短かったこと。声優さんは全員がほぼ出ずっぱりでその労力はかなりのものだっただろうが、それだけに物語自体は約1時間。この二つの欠点から観客から内容の薄いイベントと認識され、しばらく終演が受け入れられないほどだった。
どんなに声優ががんばろうとも、舞台を作る構成や演出がダメなら受け入れられないという例と認識している。とはいえ、こういう斬新な企画をやってくれるだけでも、イベントジャンキーの私的には嬉しいのだけれども。

ネギま!? Magical X`mas DVD

ネギま!? Magical X`mas DVD

キャラソンをライブで聞く。それだけでも嬉しいものだが、その歌の前後に朗読劇などで歌の情景を加えてくれればさらに魅力が増す。元々キャラソンはイベントを想定せずに作られたものがほとんどだろうから、その前後の劇のセリフを作るのはそれなりの労力だろうが、それをやってくれたのが今回のイベントだった。ネギまX'masと違うのが、キャラソンの情景をより深く表現するオムニバスにすることで、作品世界に深みを与えたこと。
「俺妹」キャストの凄味は、声優とキャラのイメージがかなり被っていること。根っからオタクの竹達、妄想に耽る花澤、委員長キャラのはやみん、癒しのしゅが、サバサバしたなばなど、まるで作品内から出てきたかのよう。元々こういったイベントを想定していた訳ではないと思うのだけれども本当に適任だ。各人が人気の面でも一線級でありつつ、それがこうして歌と芝居を同時にしてしまうというのだから、正に夢のようなステージだった。さらに、メルル役田村ゆかり姫まで魔法の力で登場したしね。出来れば加奈子としてのセリフが欲しかったところだが。
声優に歌わせるために作られた純粋なキャラソンを、その声優が作品の世界観そのままの芝居をつけつつ歌う。これはおそらく、幾多もあるキャラソンの歴史の中でも、なかなか無い恵まれた発表の機会だと思う。「キャラソンを作った以上、それを生で発表する機会を必ず作るべきだ」というのが私の持論wなのだけれども、「俺妹フェス」は正にその理想像とも言えるイベントだった。

?俺の妹がこんなに可愛いわけがないComplete Collection+?俺妹コンプ+!

?俺の妹がこんなに可愛いわけがないComplete Collection+?俺妹コンプ+!