アイカツOP「ダイヤモンド・ハッピー」、ED「ヒラリ/ヒトリ/キラリ」解説 〜アニメ「アイカツ!」という物語〜

アイカツの後期OP「ダイヤモンド・ハッピー」は前期OP「Signalize!」と対を成す曲と言えるだろう。
Signalize!」のイメージは「夜」だ。アイドルの活動する芸能界を云わば「星(スター)の輝く夜」に見立てて、そこに挑むいちご達の姿が描かれている。そしてその夜を支配するのはもちろん「月」。つまり美月。
そして「ダイヤモンド・ハッピー」のイメージは「太陽」つまり「昼」だろう。陽光の眩しい中、アイドル達が弾ける様子が描かれている。その「太陽」のイメージをキャラとして体現しているのがいちごと言える。
となれば、気になってくるのが「ダイヤモンド・ハッピー」における美月の存在。アイドル達はスターアニスとして8人登場するのだけれども、実は美月だけその描かれ方が違う。美月のシーンだけはやはり月の下の夜の存在として描かれているし、掛け声をかけるときには8人の中にいるもののその後並んで歩くときも一人姿を見せない。
しかし、曲中の中間に示される「マスカレード」が、そのシンメトリーから後の流れの「反転」を予感させる。
そして示されるアイドル達が一列に並んだ姿。この時も7人だけで美月の姿は無い。しかし「昨日の敵さえ未来の仲間」。その7人の並ぶ後ろにはスターアニス八角のマークが。つまりそこにはちゃんと8人目の存在がある事も示している。そしてその8人目である美月が「ハッピーを掴む」。
こうして見ると、このOPは太陽=いちごのイメージの中で進むものの、その中で「物語がある」のは美月であると言えるだろう。
そして、このOPの構造は「アイカツ!」という物語そのものと言えるかもしれない。
アイカツ!」は主人公いちごの熱いアイドル活動を描く作品であるとされている。しかし、その裏にはより大きな物語があると言える。その物語とはトップアイドル美月の物語。
美月は小学4年の時デビューしたが、その後1年姿を消し、再活動した時には完璧なアイドルとなってその後はトップアイドルの地位に君臨し続けているらしい。
小学生にして1年に及ぶ猛特訓を自らに科し、その後はトップアイドルとして他を寄せ付けないほどの存在となっている。これほど壮絶な人生はそうそうないだろう。その心の内には想像を絶する「心」が存在しているはずだ。
そんな美月が自分とは全く違ういちごという存在を見い出し興味を示す。そして、事実いちごはアイドルとしての存在感を大きくしていき、もしかしたら今まで何からも影響されなかった美月すらも変えようとしているかもしれない。
それは夜の月として君臨していたものが太陽に憧れるようなものなのか。いちごと美月、太陽と月は互いが裏表の存在として共に変わっていく。その二つの物語こそが「アイカツ!」という物語の構造なのかもしれない。
そして、後期ED「ヒラリ/ヒトリ/キラリ」。ここでは今までのOPEDで描かれて無い事が描かれている。
夜明けに集まるスターアニスたち8人。そこにはもちろん美月も居る。そして8人は揃ってライブへの準備に励む。・・・美月が太陽のある昼に存在しているという訳だ。
スターの存在する星空に云わば囚われていた美月が、ここで初めて陽光の下に解放されている姿が描かれている。この姿を見るたびに「アイカツ!」の裏の主人公が美月だということを強く感じさせられる。
アイカツ!」の放映もおそらく残り2か月ほどだろう。少なくともそこで一区切りあるはず。その残りの10話ほどの中でどのような物語が描かれるのか、特に美月の物語に注目せずにはいられない。

ダイヤモンドハッピー/ヒラリ/ヒトリ/キラリ

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