まおゆう魔王勇者 人間宣言〜名もなき少女が魂の解放を叫ぶ〜 昼の部 オリンパスホール八王子

 朗読劇は前回に引き続き参加。やはりこれは良いものだ。生のライブで聞く意味がある。そして、今回は戸松遥のメイド姉が主人公だという。彼女の声に心酔している者としては嬉しい限り。
 前回は物語の前日譚的な感じだったが、今回の物語はアニメの中でも描かれているエピソード。ただし、メイド姉の心の軌跡として、アニメ版では少し駆け足で描き切れていなかった部分を再構成している。このメイド姉の心は、ある意味この「まおゆう」という物語の肝とも言える部分であり、そこをクローズアップする構成からして、喝采を送りたい気分。
 メイド姉が心の中でどんどん鬱屈していく。自分の中の農奴としての弱さとそこから抜け出すための強さを求める心とで激しい葛藤がある。それは彼女の心の中にしかなく、誰にも話さないので全く表に出てこない。しかし、この彼女の心こそがこのまおゆう世界そのものを大きく動かすきっかけになっていく。正に黄金の卵の中を覗き見る贅沢な物語と言えるだろう。
 演出としては、それほどあざとくない。演説部分にも特に装飾はなく原作ママくらいだっただろう。しかし、一度人間宣言が始まれば、その戸松遥の力ある声と共に、世界をひっくり返すほどの衝撃をもって心を揺さぶられる。やはり、このシーンこそ「まおゆう」第一のハイライトシーンだ。
 メイド姉の演説には大きな感動を与えられ、そしてその後のメイド妹のセリフには涙をこらえきれない。会場のあちこちからすすり泣きが聞こえてくるw。そして、強い印象を残すのが、やはりメイド長。ちわわ凄すぎ。
 決して長いお芝居ではなかったが(正味1時間半程度)、十分過ぎる感動を堪能した。
 この物語は、構成的にアニメの後日談的にもなっていた。朗読劇エピソード0からテレビシリーズに繋がった。この人間宣言がポイントとなって、テレビシリーズの第二期に繋がっていって欲しいと切実に思う。地味な作品ではあるけれども、じっくり売れていく作品でもあるはず。是非今後とも続けていって欲しいものだ。

まおゆう魔王勇者 エピソード0 砂丘の国の弓使い

まおゆう魔王勇者 エピソード0 砂丘の国の弓使い