UQ HOLDER! Stage.2感想 〜UQ HOLDER!は赤松健版「ドラゴンボール」?〜 

うーむ、方向性が分からないなあ。もっとストレートにバトルものに持っていくと思ったのに、まだ舞台説明を続けるようだ。
一番困るのが、主人公に感情移入出来る要素を作ってくれないこと。
思うに、赤松健は主人公に感情移入させるのはそれほど上手くないと思う。結局、赤松健のメンタリティはオタクにあり、元気系キャラとは別の方向性。初期のAIとまとかラブひなの主人公はこうしたキャラであり、ストレートに書かれていた。結局、物語の登場人物は作者の分身だから。けれども、ラブひなの後半から主人公がオタクメンタリティから脱却し、それを取り巻く周りのキャラから主人公を観察する手法に移行した。この「主人公を周りのキャラが観察する手法」がそのままネギまに繋がっている。以前「ネギま!の語り部は誰か?(2006/2/16)」という事を書いたことがあるが、それは赤松健の特性がそうさせているのだと思う。観察者が次々移るので群集劇的な要素もあり物語に変化も出る。ネギまが幅広く受け入れられた理由の一つでもあるだろう。
しかし、このUQHでは今のところそういった構成が上手くいかない。なぜなら登場人物が絞られているから。メインでいるのは刀太とエヴァのみで「その状況を見てワクワクする」ということにならない。出来るのは「登場人物に深く感情移入して、そのキャラがどうなるのか」という興味を惹かせることなのだけれども、主人公刀太に感情移入出来ないのでは、物語世界に入り込めない。
今出来ているのは、実はエヴァに感情移入して刀太を観察する視点になるのだけれども、それって「ドラゴンボール」の冒頭のシーンに似ている。今回の表紙を見たりすると、もしかしたら「ドラゴンボール」のことをかなり意識しているんじゃないかと思ったり。
けれども、ドラゴンボールの構成とは色々違う。ドラゴンボールでは、ごく普通のメンタリティを持つ女の子の視点から、突拍子もない存在である主人公孫悟空を観察すると言う面白さがあった。けれども、このUQHでは観察者エヴァ自体が達観したキャラとして強く、刀太が弱い。刀太がよほど突拍子もない魅力を持っていないといけないけれども、それこそそういった人的魅力を描く事こそ、オタクメンタリティの赤松健の苦手とすることではないだろうか。
何はともあれ、まだまだ方向性が読めない。これから面白くなってくれるといいな。