田所あずさに「想い」を馳せる

俺は、極上のアイドルアニメを見始めたのか?w
これほどまでにいきなり一人の声優に思い入れる状況になる事は、今までにも滅多にない。
田所あずさアイカツの霧矢あおいの声優として知る。とても若くて、アイカツがほぼデビューくらいな感じだから、当然と言えば当然。青田刈りの趣味は無いから、ホリプロキャラバン声優オーディションのグランプリとか、全然知らなかった。
とにかく、アイカツについて声優の事まで調べて追い掛けようと思い立ったのも最近だから、認識したのは本当に最近と言ってよい。
初めて生で彼女の事を見たのは、「緒方恵美 Birthday Live 2013」で、もちろんアイカツ楽曲目当て。普通に歌が上手く、声も良く響き、「これは流石グランプリ」とか、純粋に楽しませてもらっていた。唯々アイカツ楽曲聴くのが嬉しくて、その事ばかり気にかかっていたとも言える。
しかしその後、少しずつその認識が高まっていく。アイドル地下ライブとかヨシダワイヤーとかで歌を聴く機会があり、歌唱力についてかなりのものだと感心するようになる。いやほんと、かなりの歌唱力なのだけれども、それ以上に、その声の響きが尋常じゃない。密度が詰まっているのにとても軽やか。瑞々しく途切れずにどこまでも伸びる。別格の歌声だった。
そして、その歌声がこんどは幕張のホールで聞けるのだと言う。アニサマでも歌っていたが、ソロでの大舞台は初めて。場末のライブハウスで聞くのとは違う響きが堪能出来る。とは言え、本人には強いプレッシャーでもあるだろうし、ある意味、彼女の事を見極める場とも思えた。
ところが、その場で彼女は両極端の面を見せる。
とにかく、トークがぐだぐだ。他の新入りアイマス声優三人は、誰もが上手いトークで場を沸かせるのに、彼女だけはどこまで行っても上手く喋れない。これは、もうあの場ではドツボに嵌っていたみたいで、その流れは翌日のミリラジステージにも繋がり、二日目も一人グダグタトークになって居た。もしかしたら、観客の中には彼女の事をダメダメの娘という認識だけで見ていた人も居るのではないかと思ってしまうくらい。
しかし・・・、その彼女がひとたび歌う瞬間。
これがもう素晴らしいの一言。あれだけトークがガチガチなのだから、歌でも萎縮してしないかとか思ってしまうのだけれども、全くそんなことは無く。
その瑞々しく煌びやかな声は、ライブハウスの小さなハコから飛び出して、広いホール内にどこまでも響き、伸びていく。
この広い場所だからこそ響かせるべき本格的な歌声だ。もう、感動して青のブレード振るのを忘れてしまう。
なんだろう彼女は。トークの駄目さ加減は声優にとって結構痛い。声優ラジオとか大盛況でトークこそ第一と考えるファンも居るくらいだから。
それに、まずは声優の演技というものも大事。これについては未だ未知数だから、今後伸びていくかにかかっている。
けれども、その歌声。これはもう替えがきかないトンデモナイ宝物。歌唱力は努力すれば上手くなるかもしれない。けれども、その声の響きだけば、その魅力だけは誰もが同じものを持てない。それを田所あずさはピカイチで持っていると思えてならない。「流石グランプリ」とか、今度は本気でその選考に関心してしまった。
もしかしたら、今回のライブでは、世間一般的に田所あずさは株を落としてはいないだろうかと不安でしょうがない。世間は表面の分かり易いところだけ評価したりするものだから。
しかし、あの歌声はもう他には無いもの。その価値を感じてくれていた人が他に居ただろうか。
これではまるでアイドルアニメの第一話みたいだ。ヒロインは失敗の連続で周りからは才能が無いと見られるのだけれども、その実、その類まれなる才能の片鱗が見え隠れしているみたいな。
グランプリを取ったとき、その選考者のコメントで、田所あずさは周りが心配になって支えたくなるだろう、みたいな事を云われたらしいけれども、正に今その「策略」に乗せられているw。この才能をどうにかしたいと思わずにはいられない。
とにもかくにも、田所あずさに今強い思い入れを持っている自分がいる。実際、彼女が大舞台でフルライブをしているところを思いめぐらすと、素晴らしいライブがシミュレーション出来てしまう。彼女の歌声ならばアリーナまで行けるはずという思いと、きっと待ち受けるであろう様々な難関の不安がせめぎ合っている。
田所あずさには、今後その類まれなる歌声を上手く生かして、声優界で立派になって欲しいものだ。