桂ヒナギクstarring伊藤静 〜ヒナ祭り祭り2 Message〜 渋谷公会堂

なんだろうね、この感動は。
一つの作品の中で、一人のキャラクターの人気が出る。そのキャラソンが作られる。その曲数が多くなり、キャラとしてのライブも開催される。これは、そうそうある事じゃない。アニメ作品におけるメディアミックス展開として、決められた道筋に乗ったアニメライブとかなら少なく無いけれども、こういうファンの支持主体型でここまでの展開をしたキャラと、そのライブは相当に稀だ。さらに言うならば、そのライブの開催を強く推し進めていたのが、キャスト自身というのも本当に嬉しい話。キャストがその作品、キャラを愛してくれている事こそ、ファンにとって嬉しいことは無い。ファン冥利に尽きるというものだ。
そんな開催自体嬉しさのカタマリのようなライブだったのだけれども、その内容も本当に素晴らしいものだった。
とにかく、御前が作品をリスペストしまくる。楽曲ごとに、その曲を選んだ意味を話してくれる。桂ヒナギクのアルバムはついに3枚。どう考えても全てを歌いきれるものではなく、ライブの為の選曲が必要になる。もうこの時点で、ヒナギクは完全に一人のアーティストとして確立していると言えるだろう。それを、伊藤静自身が真剣に考えて構成を決めている様子が伝わってくる。
このライブを受け止めて感じる感動は、こういった、一人の架空のキャラがライブをするという行為を通じて、実在の人格と同様の行為をしているということ、つまり、このライブ上で「桂ヒナギクが実在している」と感じられるからだろう。アニメファンとして、これほど嬉しい瞬間は無い。
そうやって決められたセットリストで、楽しく弾ける曲から、しっとり感動させるバラード、そして感動的な大曲までを、本当に密度の濃い内容で堪能させてもらった。
また、伊藤静の歌声も素晴らしい。彼女自身アーティストとしての面を持っているのだけれども、ここではヒナギクとして歌を歌ってくれる。実際には、伊藤静桂ヒナギクのキャラとしてステージに立ってはいなかったのだけれども、彼女の歌声は、そのままヒナギクの声としてつうじる声だから、歌っている時はヒナギクがそこにいるようなもの。作品の一シーンをイメージさせるMCをした上で、そういった歌を披露されたりすると、もう完全に作品内にトリップさせられる。こういう瞬間こそをアニメライブとして期待しているという事が何回も繰り返される・・・
いや、本当に素晴らしいライブだった。
ハヤテという作品自体は既に4シリーズを展開し、ある意味落ち着いてしまった印象ではあるが、それは安定して継続しているという事でもある。この夢のような公演は、この作品が続いている以上、まだまだ次の展開を期待しても良いだろう。
是非是非、今後ともこういった展開を継続して、桂ヒナギクというキャラクターを「実在」させ続けて欲しいものだ。