劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語

今更だけれども感想書いておこう。もう既に感想が書き尽くされていると思われるので、本当にチラ裏だけど。ま、この時期ならばバリバリのネタバレでも良いだろうし気楽だ。
アニメ映画を見た時、何故か過去のアニメ映画を思い起こす事が多い。やはり映画には「映画の枠」みたいなものが有り、ある程度その枠にはまった作品が生まれるからかもしれない。
この新編を見た時、真っ先に思い浮かぶのは、やはり「ビューティフルドリーマー」だよね。バスで街から脱出を図ろうとする辺りリスペクトされている気配すらある。
あともう一つ思い浮かんだのは「劇場版 機動戦艦ナデシコ」。大切な人を取り戻すために、人外の悪の道に落ちる主人公の重苦しい雰囲気とか。作品の全体構成的には、こちらの方が近い気がする。
ともあれ、映画って特別なもので、アニメはやはりテレビから生まれたものだから「映画にする」のは結構難しく、構成を決める過程で過去作が意識されるは結構あるんじゃないかな、とか思ったり。
で、内容なのだけれども、良いね。まどかマギカと言う作品の力強さの最もたる「ほむらの狂おしいほど情念」が、これでもかと表現されている展開が素晴らしすぎる。これでこそ続編を作るに値する。
やはりTV版は、最も悲劇的なエンディングなんだよね。世界は平和になりました。しかし、主人公は不幸でした、はバッドエンドの典型。より大きな世界の幸福を描き、その中にある主人公達の、恐ろしいほどに悲しい結末を帳消しにするのは物語としてはよくあることだけれども、「恐ろしいほどに悲しい結末」には違いない。
それを取り戻すために、ありとあらゆる手(世界の理を書き換えるとか)を使うほむほむには、もう喝采を送るしかない。おーやったれ、やったれ。自分が不幸になるくらいなら、愛を手に入れられないくらいなら、世界の半分くらい消し去ってしまえ、とかw。それがやれてこそ、真のエンターティメント。
あと、ファンサービスも嬉しいよね。ビューティフルドリーマーな幸福な時間を楽しめたのも嬉しいし、基本的に生き返っちゃったさやかとか。ある意味、最初の世界を取り戻していく展開が実にワクワクする。
けれども、それって歪みの上で起きていること。ほむらの、現実を受け入れない、世界の理を受け入れない、それに反逆して自分の欲望から、粘土細工の様に世界を作り替えた結果に過ぎない。
だから、その世界を、神は許容しない。人の欲望は、その力が大きすぎると、やはり世界を壊す。
最後の世界は、やはりほむらの世界をまどかが嫌って、半分を持ち去った世界なんじゃないかなあ。そして、絶望して投身という解釈は違えないんじゃないかと。残った半分の世界は悪魔ほむらの司っている魔界だろうから、当然それでこの世界は全て無くなるよね。全て無くなってお終い。そんなEND。
人の心を、その欲望を描き切ると、世界が滅んでしまうという、虚淵ワールド全開なオチ。
実に美しい物語だよね。