次代へと「繋ぐ」物語 〜アイカツ2期後半に向けて〜

アイカツは、物語的には結構スロースターターなのかもしれない。アイカツ2期前半が終わり、物語跨ぎの恒例のオフ回もあって、そして今回から新学期ということなのだけれども、その「新たな展開」という雰囲気が実に上手く、期待感が半端ない。後半になってやっと物語が動き始めた感じだ。
なぜ今回の新展開がワクワクさせられるのかというと、それは、ちょっと大げさな言葉で言うと「人生の深み」を描いているからだろう。
今回のテーマは「スカウトキャラバン」。その審査員をいちご達が務めるという。それは、そのアイドル候補者たちの人生を左右するとても重要な役割なのだけれども、その深み、人生の影をキッチリ描いている。つまりいちご達が多くの候補者を落選させ、泣かせているという事実を描いている。
そしてさらに深いのが、いちごが推した娘、あかりが決して技術力がある訳ではないということ。そこには単なる表面上の技術ではない、人生を左右するほどの深い意味があるはずであり、逆に言いば、その深みを知っているいちごという人物の深みを表している。いちごという存在の奥深さを改めて描く事が出来た回と言える。
こうなると、次からの展開がとても楽しみになる。やはり、そこに深みがあるからこそ、それを表す物語に推進力が生まれる。
今回からのOPは「繋ぐ」がテーマとなっている。リボンや糸、バトンを渡すという描写もある。正に次代への繋がりを描く事を意図しているのだろう。いちごがあかりのどこに価値を見出し、どのように育てて行くのか気になって仕方がない。
後継者を育てるということは、別にいちご達が身を引くという意味では無いだろう。ただ、人に何かを伝授するためには、その人の大きさを示さねばならない。アメリカ武者修行に1年間行ってきたいちごだが、2期前半ではその修行の成果はほとんど明らかにはなっていなかった。しかし、今回の展開によりその謎のベールが外れるはずと期待したい。
さらには、美月の方も後継候補を用意しているようだ。正に、宿命のライバルが同じ立場になる設定も整っているということだろう。
2期前半は、ドリアカの登場で一気に華やかになり活気は出たものの、物語としてはある意味足踏み状態だった。技術的に拮抗するため対決姿勢のドリアカに対して、いちご達はそれを受け流す事に徹しており、結局ドリアカはそのまま取り込まれたようなものだろう。
しかし、あかりは技術的にも未熟だしその魅力も明らかになっていない。その成長は明らかに物語の推進力だし、同時にいちごの真価もその中で見えてくることが期待出来る。さらにはその過程で美月との対決があり、より大きな舞台へのステップアップも見られるかもしれない。
一つの深みを描く事で、それを起点に物語の可能性が劇的に広がると言う好例だろう。今後のアイカツの展開に期待せずにはいられない。