Sphere's eternal live tour 2014 さいたま市文化センター

スフィアは、今年で5周年だという。それを記念してかなり積極的な展開をしている。それは、前回の武道館ライブでも感じられた。あの武道館ライブは、本当に今までの集大成的なセットリストだったと思う。
実際のところ、スフィアの取り巻く環境は、今年が正に正念場なのではないかと思ってしまう。
けいおんの波に乗って怒涛の進撃を見せた最初の展開。その後も順風満帆と言って良い状況が続き、各メンバーのソロ活動も上手くいっている。しかし、あの誹謗騒ぎのころから影が差し始める。冷静になったファンはある意味正しく評価するようになっているのに、反比例するかのようにそのころから御大臣商売に拍車がかかっていく。巨大すぎる印象の企画があったりして、今までのアニメ界に対する貢献をもってしても何かが違うと思わせてしまう。今回の久しぶりの新アルバムにしてもそう。値段ばかりが高くて高級感の少ない一部ファンのための高級版を出したりして、そういった傍若無人なスター商売はまるで80年代のアイドルの売り出しのようだ。
そして、今は次の世代が出てきている。てんちゃんを筆頭とした新みゅーれ+1は、正にスフィアこそを脅かす存在になるだろう。スフィアを取り巻く環境のチグハグさを思うに、こんな大きな時代の流れの中で、彼女達が踏みとどまれるのかが気がかりになるくらいだ。
しかし、スフィアの4人のメンバーの実力は凄まじく、他に無いパフォーマンスを見せてくれる声優グループであることは絶対的に間違いの無いことだ。その声優としてのカリスマも一人一人が相当なもの。彼女達四人とその作り出すパフォーマンスは誠実さに溢れ、声オタとしてそれを応援することに何ら抵抗は無い。今回のライブも、正に正念場という気配を感じているのだろう、実に挑戦的で新しい魅力が漲っているものだった。
怒涛の攻めのセットリストと新たな楽曲の積極的な採用。今までのスフィアを代表する曲でも、ほんの少しの贅肉が有れば即座に切り落とすかのような切れ味の鋭さ。そして残っているのはより壮大な世界観を持つ、エンターティメントに即した楽曲ばかり。それらが新たな魅力を放つ新アルバムの新たなスフィアの世界観に、より勢いを持たせることに成功している。
スフィアのライブは参加する事、体感する事で本当の楽しみが分かるエンターティメントと言えるが、このツアーからそのエンタメの「ランク」が一つ上がった印象を持つことが出来た。本当に素晴らしいライブだった。
最高の才能がギリギリのパフォーマンスを見せてくれている。それは正に、この時代の最も大きな輝きなのではないか、という印象すら与えてくれるものだった。