SHIROBAKOトークイベント 新宿ロフトプラスワン

結構神妙な気持ちで参加。
SHIROBAKOについては当初こそ「普通に面白い作品だなあ」と思う程度だったのだけれども、ここ最近、それ以上の評価を感じている。
この作品に見られるアニメの制作現場の空気というのは、実際には、似たようなものを結構頻繁に感じていたりする。というのも、この作品の空気感は、正にこのロフトプラスワンでよく繰り広げられているアニメトークライブのノリそのものだから。今まで通ったこのロフトプラスワンであったり、他のアニメフェスのスタッフトークステージだったりで見聞きしているアニメ制作現場の事、それが正にアニメそのもので一つのストーリーとして寄り集まって形作られているのが、このSHIROBAKOだ。
そう思い、改めてこのSHIROBAKOという作品が存在している意味を考えてみると、かなり凄いことが起きているのではないかとすら感じ始めた。
こんな、アニメの制作現場を知りたいなどというマニアックな趣味が、実は全然マニアックではなく、誰もが興味を持っているからこそSHIROBAKOは世間に広く受け入れられている。アニメというものが、もうマニアックでもなんでもなく、ごく普通の日常に存在するものであり、その職場も、自身の趣味を職に出来る魅力的な現場ではあるものの、一般人が目指す場所として違和感を感じさせない。
以前のアニメ現場は往々にしてオタク的であり世間と断絶した印象があったのに、この作品世界では完全に地続きなものとされている。SHIROBAKOが世間から受け入れられているということは、それが当たり前のこととして承認されている証かもしれない。
アニメが子供向け、もしくはオタク的なものという認識が定着して何十年にもなるが、その認識を打ち破ったのは、日本のアニメ史の中ではナウシカを作り強く世間にアピールし始めたジブリくらいのものだった。その後、オタク的作品はガンダムエヴァまどマギなどでどんどん勢力を伸ばし、世間へのアピールを強めていったけれども、それらアニメ作品が「オタク的であること」だけは、世間の評価として変わらなかった。
しかし、そういった時代背景によりアニメ文化の一般社会への浸透は進んでいて、それが当たり前のことであるということがなにがしかの方法で提示されるのが待たれる状況にあったのかもしれない。そして、その提示を成し得たのがこのSHIROBAKOというアニメ作品なのかも。
そう思うと、このSHIROBAKOという作品は、いまここにあるだけでナウシカに匹敵する歴史的作品なのではないか・・・という思いがある。
だものだから、このロフトプラスワンで開催されるこのスタッフトークイベントだけは是が非でも参加したかった。正にこのスタッフトークイベントこそ、こういった時代が動く現場そのものと成るはずだから。チケ取りの為に他のイベント参加を犠牲にする覚悟でPC前に陣取ったものだ。本当に取れて良かった。
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イベント内容については・・・、うーん、あまり多くを語れないのか。基本的にのら犬兄弟イベントと同じお約束としてオフレコらしい。実際にかなりヤバ目のトークも繰り広げられていたような。ただ、アニメ制作現場の作品として、実際にその現場に関わる話や、その現実と創造の差の解説などが聞けて、実に興味深いトークの連続だった。
また、もう既に情報が出ているのでサプライズゲストについては書いてよいのか。木村珠莉佳村はるかが参加してくれた。彼女たちも心情的に作品に深く関わってくれている様子が伝わってきて実に嬉しい。最終展開におけるずかちゃんの事が話題になったのだけれども、そこは同じ声優として強く共感しているらしく、語りかけている内に、るるきゃんの瞳がウルウル輝きだしたのには・・・、参った。正に(3週後の放映の先取りとして)23話のシーンそのままに、こちらの目にも力が入ったり。泣いてんじゃねーよと偽まるから突っ込まれる始末。いや、あの時間は永遠だったなあ・・・
ともあれ、個人的認識として、アニメ史の分岐点になるかもしれないイベントに参加するという、得難い体験をした気分。この作品が傑作として終わるのはほぼ間違いないが、それがこの後どのように評価されていくのかという事にも注目していきたいと思っている。