堀江由衣をめぐる冒険5〜狙われた学園祭〜<RED DAY> 国立代々木競技場第一体育館

堀江由衣ライブにして堀江由衣をめぐる冒険シリーズ第5弾。この堀江由衣のライブについて、それを物語のシリーズとして認識して楽しんでいる人はどの程度いるのだろうか。
この堀江由衣をめぐる冒険シリーズは、各回で完結していて基本的に物語の繋がりが無いように作られている。しかし、前回があった以上物語は影響を受けるもの。非常に緩くではあるが、実際には物語は繋がっているように思う。そしてその物語は一回ごとに盛り上がりが増していき、前回第4弾ではベストライブと併せて物語の一つの頂点に辿り着いていた。つまり、一つの大団円となっていた。
この流れについては以前「冒険王堀江由衣SaGaを読み解く 〜LIVE「堀江由衣をめぐる冒険」私的解説〜(2013/3/18)」で書いたので(非常に荒い文章なので読むのはお薦め出来ない)割愛するが、その物語の結末として、二つの可能性が示されていた。
一つは、冒険者堀江由衣」が第1弾「堀江由衣をめぐる冒険」で手に入れ、彼女を冒険者にさせていた「不思議な力」を最後に失ったのではないかということ。
そしてもう一つが、その不思議な力を失った冒険から時間旅行によって戻ってきたことにより、彼女の以前の冒険そのものがリセットされているのではないかということ。
つまり、もし次に「堀江由衣をめぐる冒険」があったとしても、今までとは全く違う展開になる可能性があった。
そしてこの第5弾「狙われた学園祭」は、正にそのように作られていた。そういった意味でこの「堀江由衣をめぐる冒険5」は正統な続編であり、且つ「第2シーズン」の第1弾と位置付けることが出来るように思う。
今回、不思議な力を失っている堀江由衣が居るのは普通の学園。恐らく、毎回堀江由衣が迷い込んで冒険してしまう異世界に行く前の「現実世界」を舞台としているのだろう。この現実世界は「サンタに着替えたら」でも少しだけ舞台となっていたかもしれない。
そこでは堀江由衣は不思議な力を持たない。不思議な事と言えば、クマっぽい生徒が居るくらいwだ。あとは幽霊の存在も確認出来るが、そういった現実世界の超常現象があること自体がこの世界がファンタジー世界では無い事を強調し、現実味を深めていたようにも思う。
今回の冒険は現実世界でのミステリーを解く事。親友の恋愛事情のため男装して男子校に侵入したほっちゃんが、そこで起きる学校爆破予告事件の謎を解決する。
堀江由衣が男装して男子校に潜入するというネタは「リトルバスターズ」に通じ、同時に「乙女はお姉さまに恋してる」の反転という意味でも通じている。堀江由衣の演じた世界に近い物語という意味でも、より現実世界を感じさせる設定だ。
そこで「堀江由衣」はいつも通り状況に流され易い性格ながらも、自分の思い付きに従い大胆に行動していく。ファンタジーでは無い現実世界だからこそ、恋愛事情とか男子に対する態度とかの感情が現れていて、いつも以上にイキイキと行動しているようだった。
今までのファンタジー世界における彼女の数々の冒険物語を見守ってきた者としては、そんな「堀江由衣」というキャラクターの、本来の場所における生身の感情を見たようにも思え、なんとも感慨深い気持ちになる。
ともあれ、この「堀江由衣をめぐる冒険」はこの第5弾をもって第2シーズンに入ったという認識は間違いないだろう。この世界観が今後も続いて欲しいと切に願う。代々木第一体育館という今まででも最大級のステージを満杯にし、その舞台の完成度も相当なもので観客の満足度も高かっただろう。きっと次回があるだろうと信じたい。

堀江由衣をめぐる冒険 TOUR FINAL ~Second Tour 2006~ [DVD]

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