ロフトプラスワン五帝会戦 ロフトプラスワン

異能バトルは日常系のなかで」というアニメは、その制作会社から考えるとかなり不思議な作品のように思える。制作会社TRIGGERは、「キルラキル」でも知られるガイナックスから飛び出したより先鋭的とも言える集団。それがベタベタのハーレム萌えアニメを作っている。
一体何故か。このイベントの題名が五帝会戦と言うように、作品の中核である監督、構成、撮影監督、メインアニメーター、プロデューサーが揃って居ることからも、その謎の一端を知ることが出来ないかという思いが参加理由の一つでもあった。
最初の方は結構淡々とトークは進んだ。互いに好きなキャラを聞きだしたり、パロディネタの場所を解説したり、撮影の仕事を実際の映像の効果を見比べて紹介したり。作り手の拘りを感じるトークではあったのだけれども、どこかトークが重くて、客に探りをいれている風でもあった。
キャラの好みを話すとかは確かにキャラアニメのトークらしいけれども、どこか無理している風だったし、パロネタの場所についても、あらゆる場所でパロが蔓延している昨今、公式のパロネタは少し時代遅れの感があったり。つまり少し上滑りなトークに感じられた。
しかし、後半になってサプライズでぴょんきちとななみんが登壇してから、雰囲気が変わり始める。もちろん二人の登場によって会場が盛り上がったのは当然なのだけれども、それで安心したからかスタッフの作品に対する素直な意識がトークに出始めた感じ。
この二人も参加したアイドル声優で盛り上がった先日のイベントの話題を受けたトークで、この作品で新しいことに挑戦したかったとか。そして、こういった日常系を作るのにはやはり相応の技術が必要で、それを新人アニメーターにも経験させたかったとか。
トリガーと言うと、やはりイメージとしてはキルラキルグレンラガンガイナックスの中でもより先鋭的な作画に特化したチームという印象だ。しかし、それはセルアニメの特異な描写に拘るということでもあり、キルラキルの作風も狙いからして前時代的。中島かずきと劇団新幹線とかの舞台演劇が若者文化の主流だったのは1970年代の新宿文化世代であり、1990年代以降のアキバ文化の一世代前のかっこよさとも言える。このロフトプラスワンのある歌舞伎町で語るには丁度良い作風なのだけれどもw、それが今の時代に毛色が違う作品としていつまでも持て囃されるのか、作り手としても不安を持ってたのかもしれない。新しいものに挑戦出来ないクリエーターは常に滅んで行くものだし。
まあこのあたりは私の妄想で、実際に作り手がどう感じてこの作品を受けたのかは明確にわ分からないのだけれども。
このキャスト二人ともライブでMCを務めるほどの人達だから会場は大いに沸く。最終的には作品トークとしてもキャストトークとしても実に楽しいイベントだった。
あ、あと一つ声優の話題として、鳩子キャスティングはあのシーンを想定してはやみん一択だったらしい。そして実際の収録でも一発OKで誰もが感心したとか。はやみん大絶賛だったw。
最後には舞台上から原画のコピーがばら撒かれてた。あれも全員に配るとかの方策が足りてない。そんなことが象徴するように、新たな方向性に向けて色々と試行錯誤中だけれども、その誠意を感じさせてくれるイベントだった。