animelo mix presents 田村ゆかり LOVE ♡ LIVE 2015 Spring *Sunny side Lily* supported by JOYSOUND 国立代々木競技場 第一体育館

田村ゆかりは変わり始めている。その声優活動期間=自身の歳の数wにして歌手活動も15年にもなろうかという大ベテランなのに、いま正に新しい事にチャレンジしている。
それは一切の妥協を赦さず、決して後退せず、ただただライブの密度と精度を上げていくという作業。自身がアイドル声優の頂点に立っているという自負の下に行う、とても崇高で献身的な活動だと思う。
より大きな存在と言うのであれば水樹奈々が居るだろう。しかし水樹は歌手としてその歌唱力とパフォーマンスを一般層にまで届ける存在として大きく成って居る。しかし、姫は違う。姫のライブの第一義はアイドル。それも、アニメキャラを背負い、あくまで甘ロリで形作られたアイドルとしての声優イメージ通りのアイドル声優、そこのところから一歩も動かない。アイドル声優の頂点として、もう誰も、足元にすら近づけないほどの存在に成って居る。
それは傍から見ると研ぎ澄まされた刃が脆さを感じさせるような危うさもある。それなのに、いやだからこそ変わり続ける必要があるのだろう。ここまで来たらもう留まることは出来ない。ただただ、行けるところまで進みのみ。
先の武道館ライブが、言わば今までのライブの型を壊す試みだったとすれば、今回のツアーはその壊した型を再構成してより密度を上げたライブ構成に成っていた。歌と映像とダンスとファンタジーが渾然一体となって、極上のゆかり王国の世界を形作っていた。
もうゆかり姫のライブを見続けて10年以上になるのか。もうここまで来ると、息を止めて、目を凝らして、唯々見守り続けるより他は無い。
今ここにアイドル声優のライブとして見るべき、絶対的に見るべきライブがある。その事をより多くのアニメファン、声優ファンに認識してもらいたいものだ。